学校日記

食事の意味

公開日
2005/12/09
更新日
2005/12/09

校長先生の部屋

 兵庫県に生野学園という不登校の生徒のための全寮制の高等学校があります。その校長先生のお話で興味深いお話がありましたので紹介します。
 この学校に入学してくる子は,経済的には問題が少ないが,食生活が貧困です。来たときは「味オンチ」の子が多く,一人でセカセカと食べたりしているが,食事のおいしさがよく分かり,他人と一緒に楽しんで食べるようになると,普通の高校に登校できるようになるのだそうです。このことを見ても,子どもの人間形成のうえで「食事」がどれほど大切か分かってきます。「食事」の味が分かるということは本当に大切で,子どもの時に微妙な味に接していない子は,「甘い」のだけがおいしいと思ってしまう。味の中の「苦み」や「酸味」などが,どれほど食物を「おいしく」するのに役立っているか分からない。このことは,人生の味の微妙さ,人間関係の複雑さが分からない。物事を単純に「好き」と「嫌い」だけに分けてしまうような態度につながってしまうのだそうです。
 「食事」は人間関係を楽しみ,料理を楽しむ間に人としての基本を作るものです。どの国でもとても大切にされています。そして,このことを行う一番適切な場所は「家庭」です。「家庭」での楽しい「食事」を体験することが子どもの健全な成長には欠くことが出来ません。それぞれのご家庭で,「食事」の意味を理解して,「食事」を見直して見ることが大切だと思います。