第109回卒業証書授与式式辞
- 公開日
- 2018/03/20
- 更新日
- 2018/03/21
校長メッセージ
校庭の桜も、たくさんのつぼみをふくらませるようになりました。「春雨や 蓬を伸ばす 艸の道」芭蕉の句のように、春雨は草木の生長を促します。卒業生のみなさんの門出を祝っているようです。
六十七名の卒業生のみなさん、卒業、おめでとうございます。
希望と喜びにあふれるこのよき日に、友松孝雄様はじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜りますとともに、保護者のご列席をいただき、ここに第一〇九回卒業証書授与式を盛大に行うことができますことを、心より厚くお礼申し上げます。
さて、卒業生のみなさん。みなさんと出会った五年生からのことを思い出しながら、卒業証書を一人一人に渡しました。みなさんが手にしている卒業証書は、小学校で学ぶべきことを全て学び終えたという、六年間の努力の証です。そして、この鳥居松小学校の卒業生であるという証明書を受け取ったわけです。是非とも、鳥居松小学校の卒業生としての誇りを持ち、中学校に行っても、自信と勇気を持ってがんばってほしいと心から願っています。
卒業証書を手にして、今、六年間の歳月を思い起こして、ここまで成長したことの喜びをかみしめていることでしょう。小さかったみなさんが大きなランドセルを背負って鳥居松小学校に通い始めてから、六年が立ちました。みなさんは、この六年間で多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特に、この一年間は、鳥居松小学校の牽引役として活躍する姿をたくさん見せてもらいました。組み立て体操が光った運動会、なかよし班のリーダーとして活躍した いちょうまつり、仲間と語り合いながら京都の町を見学した修学旅行。一人一人が真剣に取り組んでいた姿が、心に残っています。この活躍ぶりは、在校生がしっかりと受け継いでいきます。
この成長は、みなさん一人一人の努力の成果ですが、自分の力だけでできたわけではありません。けがや病気をしながらも、元気に今があるのは家族のおかげです。絶えず見守り、育ててくださったお父さん・お母さん、そして家族、これまでに出会った先生方や友達、また、登下校を見守って頂いた地域のみなさんなど、多くの方々の支えが、みなさんをここまで成長させてくれたことを忘れないでください。
さて、昨年平成二十九年は、次代を担う中学生や高校生の活躍が大きなニュースとなった年でした。将棋の公式戦最多の二十九連勝を記録した藤井聡太四段(現在は六段)、史上最年少で卓球世界選手権八強入りを果たした張本智和選手、史上最年少で卓球のワールドカップと全日本選手権に優勝した平野美宇選手、サッカー界では、高校一年生でFC東京に所属する久保健英選手は、J1の試合で得点を挙げています。
かれらは、だれもが小さい頃からの人並み外れた練習量と数多くの試合や対戦によって力を身に付けたものです。
藤井聡太四段は、五歳のときに祖父母から将棋の手ほどきを受け、将棋教室に通い始めるとめきめきと腕を上げ、最年少記録を更新する十四歳二か月でプロの将棋士になりました。そして、プロデビュー戦で最高齢棋士加藤一二三九段を破り、公式戦二九連勝の最多連勝記録を更新しました。藤井さんは、小学校四年生の文集に、「名人をこす」という大きな夢を記していました。卓球の張本智和選手は、卓球選手だった両親のもと、二歳でラケットを握り、小学校一年生で全国優勝を果たして頭角を現しました。昨年開かれた世界卓球選手権シングル日本代表に史上最年少の十三歳六か月で選出されました。さらに、六月のワールドツアーでは、史上最年少優勝記録を更新しました。張本選手は、どんなに劣勢になっても絶対にあきらめない気持ちを持つと言っています。
新しいことに向かうには、自分にできるだろうか、続けられるだろうかと不安が先に立ちます。しかし、どんなに優れた才能をもった人でも、スタートの時の気持ちは同じです。大切なことは、始めることです。
みなさんは、何のために学校で勉強をするのでしょう。『ミライの授業』の著者瀧本哲史さんは、未来を変える「魔法」の力を学んでいると述べています。
この本の中では、地動説を唱えたコペルニクスや日本中を測量して正確な地図を作成した伊能忠敬など、多くの偉人が紹介されています。紹介されている偉人たちは特別な能力を持っている人たちではなく、未来を変えたいと行動した人たちです。未来をよくするため、学校で勉強したことを武器として使った人たちです。ひとりの力が何人も集まることで、未来を変えていくことができます。
若い世代は、常識にとらわれない分だけ、新しいことを考えられます。過去の偉人たちは、「魔法」の力で未来を変えてきました。みなさんも、魔法を学んで未来を変えるために学校に通い、勉強をしているのです。
未来には、いいところがあります。それは、「未来は、つくることができる」という点です。学校は困難を乗り越えるための武器を身に付けるためにあり、それぞれが自分の力を出すことで未来を変えられます。予測不能と言われるこれからの時代に、明るい未来を導くのはみなさん一人ひとりです。中学校では、部活動も始まり、勉強も難しくなります。そんな時こそ、学ぶことの意味を考えてください。未來をつくるみなさんの活躍を願っています。
最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。これまで十二年間にわたり、陰になり日なたになって、子どもたちを支えてくださったご苦労に対して、心より敬意を表すると同時に、これからのますますのご発展を祈念しております。また、六年間、みんなの保護者という目で、どの子にも優しく時には厳しく接してくださり、ありがとうございました。おかげで子どもたちは、自分の都合だけでなく、広く考える視野を持つようになってきました。共に手を取り子どもたちを育ててくださったことに深く感謝しております。ありがとうございました。子どもたちも四月からは中学生として、これまでとは違った環境で新しいスタートを切りますが、これまで同様、その成長を温かく見守り、支えていただければと思います。
最後に、卒業生のみなさん、小学校生活最後を飾って、心のこもった別れの言葉、美しい歌声を会場のみなさんに聞かせてください。
卒業おめでとうございます。
以上を、私の式辞といたします。
平成三十年三月二十日
春日井市立鳥居松小学校長
渡辺 徹