<校長室の窓> 考える集団
- 公開日
- 2021/02/09
- 更新日
- 2021/02/09
校長室の窓(〜2020年度)
南中生の皆さんへ
長野県の南部に「伊那(いな)地方」というところがあります。
そこには、寒天(かんてん)を作っている会社がいくつかあり、
『かんてんぱぱ』という商品で有名な「伊那食品工業」もその一つです。
私は、以前、この会社の会長の講演を聴く機会がありました。
伊那食品工業は、従業員数はおよそ500人。
会長はこう言われました。
「うちの成長速度はゆっくりでいい。
儲(もう)けようとしてはいけない。儲けすぎてはいけない。
全社員に給料が払えて、全社員同じ年に海外旅行に連れていけて、
そして全社員のがん保険料を2,000万円分は払えるだけの力が
維持できる売上があれば、それでいいのです。」
この会社には「年輪経営」という言葉がありますが、
そんな考え方でやっている会社なのです。
この会社のモットーは、
「いい会社をつくりましょう!」だそうです。
では、何をもって「いい会社」と評価するのでしょう。
私はそこに行って、「体感したい!」と思いましたが、
それはかないません。
でも、ある数字を見た時に、
「この会社って本当にいい会社に違いない!」と思えました。
では、その数字とは何でしょう。
伊那食品工業で、毎年新しく採用できるのは、
せいぜい12名〜15名だそうです。
さて、「採用枠」に対して何人の応募があると思いますか。
なんと一番多い時で、8,000人もの応募が来たそうです。
ロケーションを考えてみてください。
会社は長野県の一番南の端っこ。
交通の便は悪いです。
そういうところになぜみんな行きたがるのでしょうか。
それは、その会社のスタッフが「考える集団」だからです。
上司に言われて動くだけの集団ではなく、
「この会社で働く」ということを通して、
自分たちの在り方をきちんと考えようとしている集団だからなのです。
学校も学級も部活も同じではないでしょうか。
「どうしたら楽しくなるか」
「どうしたら居心地(いごこち)が良くなるか」
「どうしたら一人一人が向上できるか」
「どうしたら強くなれるか」
それをみんなで「考える集団」だったら、
そして、自分がその「考える集団」の中の一人だったら、
どんなに素敵でしょう!
いい学校をつくりましょう!
(写真は伊那食品工業の公式ホームページより)