学校日記

<校長室の窓> 「ぶる」と「らしく」

公開日
2020/12/16
更新日
2020/12/16

校長室の窓(〜2020年度)

南中生の皆さんへ

講談師として初めて「人間国宝」に認定された
6代目一龍斎貞水(いちりゅさい ていすい)さんが、
去る12月3日、お亡くなりになりました。
15歳で入門し、講談ひと筋65年。
芸の世界においては、決して早くないスタートだったにもかかわらず、
絶え間ない「人間修養」を続け、見事に自分の道を開いた人です。
彼の「これからを生きる若者へのメッセージ」をご紹介します。

10年くらい修業を積むと、
もう一丁前(いっちょうまえ)で、
「世の中のことすべてがわかった」と思いたくなるものです。

しかし、周りには自分の何十倍もの辛酸(しんさん)を嘗(な)め、
喜びも悲しみも、肌で経験している人がいることを忘れちゃいけない!

20代になると、一人前ぶる人がいます。
だけども、「ぶる」んじゃないぞ、
「らしく」しろ!ってよく言うんです。

勉強中なら勉強中らしくする。
一人前ぶるな!
二十歳(はたち)は「二十歳らしく」が一番いい。

20代っていうのは、ようやく善悪の判断ができ、
世の中の動きも理解できるようになってくる頃。
だから、本当の修業、勉強期間っていうのは20代ですよ。

私は27歳で真打(しんうち)になったけれど、
真打に昇進してからが大変でした。
同じ真打という肩書でも、
50年・60年の大ベテランと比べたら全く違う。
「先代はうまかった」
その声を聴く度に、嬉しいはずの昇進というのが、
ものすごく大きな壁のように迫ってきたね。

その時に、真打(しんうち)ぶるんじゃなくて、
新真打は新真打らしく、
身の丈(たけ)に合った芸をする。

「芸は人なり」という言葉の通り、
その人の器以上の芸はできないのだから、
ありのままの自分で壁を一つずつ乗り越えていくしかないんです。

伸びる人と途中で止まってしまう人、
その差はやっぱり感謝や恩の気持ちを抱けるかどうかじゃないですか。
スポットライトを浴びたのは、当然自分一人の力ではありません。
それまで怒ってくれた人、育ててくれた人がいっぱいいるわけですよ。
その人たちのおかげで今の自分があることを忘れちゃいけないね。

だから、絶頂期こそ一番用心しなきゃいけないですよ。

(出典:月刊『致知』2020年4月号)

一龍斎貞水さん詳細はココをクリックしてください。

いかかがですか。
中学生が「大人ぶる」必要はありません。
どんなに上手に化粧をしても、
中学生本来がもつ「肌の美しさ」「肌のつや」には勝てません。
「中学生らしく」が一番いいのです!

では、「中学生らしく生きる」とは、どんな生き方でしょうか。
●「素直な心」でいろいろなものをどんどん吸収していく!
●失敗を恐れず、果敢にチャレンジしていく!
●友達といい意味で「切磋琢磨(せっさたくま)」していく!
●思い悩んでも、しっかり自分で考えて、自分で決めて行動する!
●「いのち」が喜ぶ生き方をする!

など、いろいろあると思います。
いずれにしても、「あなたらしく」生きてくださいね!

私も「校長らしく」、
この学校の先生達の「先頭」に立って、頑張ります!