<校長室の窓> 「前の段階」を満たす
- 公開日
- 2020/12/02
- 更新日
- 2020/12/03
校長室の窓(〜2020年度)
保護者の皆様へ
今日は、ベストセラー『オール1の落ちこぼれ、教師になる』で有名な
エッセイスト・宮本延春(みやもとまさはる)氏の言葉をご紹介します。
よくいただく質問です。
オール1で、23歳まで九九も言えなかったのに、
なぜそこから大学進学のためにそんなに頑張れたのですか?
これについては、
「マズローの欲求5段階説(上図)」を参考にしながらご説明します。
一番下の欲求は「生理的欲求」です。
「トイレに行きたい」「眠い」「お腹がすいた」というような、
生きていくのに最も必要な欲求です。
この段階が満たされると、
次に生まれるのはその上の「安心安全の欲求」です。
危険に怯えることなく、安心して暮らしたいという欲求です。
これが満たされると「所属と愛の欲求」が生まれます。
「仲間や友だちが欲しい」「自分に関心を持ってほしい」
などという欲求です。
それがある程度満たされると、
今度は「評価してほしい」と思うようになります。
承認欲求ともいいますが、今は「評価欲求」で進めます。
この4つの前段階の欲求が満たされて、
初めて「自己実現に向けた欲求」というものが生まれるのです。
僕は中学生の頃、いじめを苦に自殺しようとしたことがあります。
その時の僕は、いじめから解放されたい「安全の欲求」の段階でした。
ですから、そのような状態にある子どもに対して、
「夢に向かって頑張れ!」と言っても頑張れるわけがないのです。
また、僕が(貧乏暮らしで)タンポポを食べている時、
食欲という生理的欲求すら満たされない状態で、
「目標を持って頑張れ!」と言われても、それどころじゃありません。
だから、もし子どもたちがこのような前段階にいるなら、
いきなり「自己実現に向けて頑張れ」と言うのは無意味です。
重要なのはちゃんと欲求が満たされているか。
この意識を持って子どもたちのことを見てもらえたらと思います。
僕には支えてくれた人、応援してくれた人たちがたくさんいました。
その人たちのおかげで、
23歳の時にようやく評価欲求まで満たすことができ、
そこから「大学で物理を学びたい」という自己実現に向けて
取り組むことができたのです。
とても興味深い言葉だと思います。
宮本氏によれば、
子どもは、「頑張れ!」と言われても、
「前の段階」が満たされていないと、頑張れないということですね。
釈迦に説法をお許しください。
宮本延春氏の詳細はココをクリックしてください。