<校長室の窓> 中村天風から学ぶ
- 公開日
- 2019/02/04
- 更新日
- 2019/02/04
校長室の窓(〜2020年度)
南中生の皆さんへ
中村天風(てんぷう1878〜1968)という思想家がいます。
彼は、若い頃は、右翼的な活動をしましたが、
後に、悟りを開いて「天風哲学」を構築しました。
中村天風の教えに影響を受けた人は数多く、
経営の神様といわれる松下幸之助氏や、
最近では、大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手などがいます。
最近、中村天風の言葉を一冊にまとめた本が出版され、
話題になっています。
『折れない心をつくる言葉』(イースト・プレス)です。
今日は、この中から、二つの言葉を紹介します。
人を憎んだり恨んだり、
あるいは中傷(ちゅうしょう)したりする人は、
自分もまた、
必ず他の人からそうされていることを
忘れてはならない。
私が若い頃、この南城中学校に、
S先生という立派な学年主任がみえました。
S先生は、絶対に人の悪口を言わない人でした。
また、S先生の悪口も一度も聞いたことはありませんでした。
私は、S先生を心から尊敬し、「自分もそうなりたい」と思いました。
でも、私の心は貧しく、なかなかS先生のようにはなれませんでした。
校長になった今でさえ、反省することしきりです。
天に向かって唾(つば)を吐(は)くと、自分に返ってきます。
これを昔の人は、「天に唾する」と戒(いまし)めました。
他人を害しようとすると、かえって自分の身を損なってしまうのです。
この法則を「コンペセーション(代償・報償)」と言います。
また、昔の人は、「情けは人のためならず」と教えました。
情けは、他人のためではなく、いずれは巡り巡って、
自分に返ってくるという意味です。
「天に唾する」がマイナスのコンペセーションなら、
「情けは人のためならず」は、プラスのコンペセーションです。
他人に対して、プラスの言動ができなくなったら、
「自分の心は貧しい状態にあるかもしれない」と疑ってみることです。
気づいていないだけで、
周囲に「不機嫌菌」をばらまいているかもしれません。
そんな時の応急処置は、
自分に「プラス言葉」の注射をすることです。
中村天風のもうひとつの言葉を紹介しますね。
心を明朗(めいろう)に、
一切の苦しみをも、
微笑(ほほえ)みにかえていくようにしてごらん。
そうすると、
悲しいこと、つらいことのほうから
逃げていくから。