学校日記

<校長室の窓> 一粒の涙のために弾く

公開日
2018/05/30
更新日
2018/05/30

校長室の窓(〜2020年度)

南中生の皆さんへ

今日は、
宮崎市在住のピアニスト・野田あすかさん(36)を紹介しますね。
野田あすかさんは、対人関係などが苦手な
「自閉症スペクトラム障害」を抱えるピアニストです。

小さい頃から、人の気持ちや表情を読み取れず、
相手を怒らせたり、笑われたり…。

22歳で「発達障害」とわかるまで、
「頑張りが足らないからみんなと同じことができない」と、
自分を否定し続けてきました。

図形の認識が苦手で、楽譜も読めず、
子どもの頃は、ピアノ教室でみんなについていけませんでした。
高校では、いじめを受け、転校もしました。

それでも、寝るときと食べるとき以外は練習をして、
高校3年生の頃から、ピアノのコンクールで、
上位入賞できるようになりました。

でも、大学で人間関係のストレスから、
「過呼吸発作」を繰り返すようになり、大学を退学しました。

自宅の2階から飛び降りたときの後遺症で、
今は、車椅子生活です。
右足は、ピアノのペダルを踏めず、左耳には「難聴」もあり、
指のタッチを工夫して、弾いています。

大学を退学した後、個人レッスンを引き受けてくれた先生に、
「あすかさんは、自分の心を音に出せるのね。
 あなたは、あなたのままでいい。」

と、言ってもらえました。
この先生の言葉が、彼女を大きく変えたのです。

(障害があるので)言葉で気持ちを伝えることは苦手だけど、
ピアノが私の心をわかってくれ、人に伝えてくれる。
それがわかってから、
ピアノを弾いたら、たくさんの人が友達になってくれました。

彼女は、自分のコンサートで、いろいろな人と出会い、
「幸せそうにみえる人も、何か一つは悲しいことを持っている…。」
ということに気づきました。

そして今、彼女は、
涙を流せない人が、一粒だけでも涙を流せて、
にっこりしてくれるような演奏をしよう!
と頑張っています。
9月まで、全国ツアーを開催中です。

(読売新聞 5月29日朝刊 参照)

※野田あすかさんの詳細は、ココをクリックしてください。
※野田あすかさんのピアノの演奏は、ココをクリックしてください。
(写真出典 Yahoo!画像)