<校長室の窓> 中学生で出会っておきたい詩
- 公開日
- 2018/04/13
- 更新日
- 2018/09/24
校長室の窓(〜2020年度)
南中生の皆さんへ
今日もまた、金子みすゞの詩を紹介しますね。
金子みすゞの詩は、世界12か国語に翻訳され、
多くが、その国で出版されています。
「大漁」は、彼女の代表作のひとつです。
大漁 金子みすゞ
朝やけ小やけだ
大漁だ
大(おお)ばいわしの
大漁だ。
はまは祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
いわしのとむらい
するだろう。
金子みすゞの詩の本校HPへの掲載は、
『金子みすゞ童謡全集』のJULA出版局から許可をいただいています。
大漁を喜ぶ浜の人々を見つめながら、
目にはみえない海の中のいわしの悲しみを思う
彼女の優しさと感性…。
こういう人間になりたいものですね。
保護者の皆様へ
金子みすゞ記念館館長で、児童文学作家・童謡詩人の
矢崎節夫氏の言葉を、ご紹介いたします。
(以下引用)
「大漁」に出会う前のわたしは、
自分が生きるためには、いわしは食べられてあたりまえという
「いわしとわたし」でした。
それが、
「海のなかでは 何万の いわしのとむらい するだろう」を読んだ時、
わたしは自分一人で生きてきたのではなく、わたし以外の他の命によって
「生かされてきた」のだと、気づかされました。
「わたしといわし」が「いわしとわたし」に変えられたのです。
「わたしとあなた」から「あなたとわたし」への転換でした。
みすゞさんは、「あなたとわたし」というまなざしの詩人だったのです。
つい、わたしたちは、「わたしとあなた」と、
自己中心的になりがちです。
そうすると、「なぜ、わたしのことをわかってくれないの。」と、
一方的に上から言葉をぶつけがちになるのです。
しかし、わたしがあなたをわかろうと、理解しようとしないかぎり、
あなたがわたしを理解してくれるわけがないのです。
だから、あなたを理解するためには、
あなたより上にしてしまったわたしのまなざしを、
まず、あなたと同じ位置まで下げて立つことです。
だからこそ、英語で、
「理解する」は、「understand(下に立つ)」
と書くのですね。
「親と子」「先生と生徒」も同じです。
自分を先に考えがちですが、
子どもを授かって初めて親になれたのですから。
先生も生徒がいてくれてこそですから、
「生徒と先生」です。
自分中心のまなざし、「わたしとあなた」を、
どちらも同じく大切という「あなたとわたし」に変えるだけで、
大切なことやうれしいことが見えやすくなる、
そんな気がします。
(引用終わり)
いかがでしょうか。
私も自身も、教師として、校長として、
「あなたとわたし」を、肝にも銘じたいと思っております。
保護者の皆様におかれましても、
矢崎館長の考え方を、子育ての参考にしていただければ幸いです。
釈迦に説法をお許しください。
※参考文献『子とともに ゆう&ゆう』4月号
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(写真出典 Yahoo!画像)