サルが教えてくれる命の大切さ【講演会より】
- 公開日
- 2009/11/10
- 更新日
- 2009/11/10
校長メッセージ
11月7日(土曜)は学校公開日でした。たくさんの保護者の皆さんに、授業の様子を参観していただきました。そして、午後は講演会を開催させていただき、保護者の方にもお聴きいただきました。
講師として、日本モンキーセンターの副園長さんの木村直人氏をお招きしました。昨年3年生【現高1】
の皆さんは、3学年だけでお話を聴いたようです。私も今回の講演を聴かせていただき、いろいろ考えることがありました。
講演の題名は「サルが教える命の大切さ」です。
日本のニホンザルは、世界中のサルの北限に生息する猿だそうです。そんなお話から始まって、次第に日本モンキーセンターでの猿の飼育の様子に話は移って行きました。
センター内には、猿の病気やけがなどに対応するために、眼科・歯科・皮膚科・整形外科・産科などがあるそうです。飼育されていると言っても、猿たちが生活するうえで、これらの治療はとても重要で、
彼らの命に関わることになるのだそうです。例えば、眼科や皮膚科は、木から木へと移る際の距離感を正確に計るためや枝をしっかりと握るために必要なのだそうです。センター内といっても、こうした猿の環境で生きるために、細心の注意をはらってみえるのですね。また人工哺育といって、生まれたばかりの赤ちゃんをお母さんが養育できないときには、飼育係の方が親代わりになって育てられる話も、大変感動しました。
しかし、特に考えさせられたのは太古の昔、猿の仲間から進化した私たちが、長い時間をかけて現在の文明や文化をつくりあげてきました。おそらく、彼ら(猿)たちもそれぞれの種ごとに、彼らなりの生態を築いてきたのだと思います。うまく表現できませんが、私たち人がDNAとしてもっている習性が奥底にあり、その上に進化した文化などの生活習慣が積み重なっている。そんな気がしました。そんなの当たり前の考えだと笑われそうでそうですが、猿のお話を詳しく聴けば聴くほどにそう考えるようになってきました。人に飼われている猿ではありますが、その生態からは、今から500万年前に原野を飛び回っていたヒトの姿が見えたような気がします。
例えば、手長猿の子どもが雲梯のトレーニングをする場面です。高い雲梯に子どもと一緒に登り、子どもだけを一人取り残し、母親は少し離れた場所で見守る。子どもは泣き叫ぶものの、少しずつ母親のいるところまで近づいてくる。そして、母親のいるところまでたどり着くと、母親は子どもをグッと抱きしめる。そして、今度はさらに移動距離を延ばしてトレーニングを繰り返す。それができないと、手長猿として生きていけないから。人間の親子なら当たり前のように行われている行為ですが、その猿の親もそうやって、手長猿としての生き方を教えてもらって今日まで生きてきたのでしょう。そして子どもは、親離れをして自立していくのでしょう。命はこうして受け継がれていくのでしょうね。
他にも講師の先生ご自身の体験談や猿のシノちゃんの話がありましたが、また別に機会にでも紹介します。
便利な世の中になった反面、私たちが忘れてしまっている大切な何かを考える時間になりました。