学校日記

コートの水とり

公開日
2009/07/09
更新日
2009/07/09

校長メッセージ

 梅雨に入って、雨がよく降ります。運動場やコートに降る雨は、水たまりを作り部活動の練習の妨げになりますね。最近よく見る風景として、コートや運動場の水取り作業があります。それ眺めていてふと思い出したことがありました。自分が中学生の頃、体育館は無く、バスケットコートにたまった水を取るのは1年生の仕事でした。ある日、その前日に降った雨がまだ残っていて、早速朝から私たち1年生は水取りを始めました。当時今のようなウレタンとかスポンジの大きいモノはなく、ぞうきんで水を吸ってはバケツに入れる作業を繰り返していました。仲間の一人が、雨水がたまっている場所から溝を掘って、コートの外に流せばいいんだ、と発案しました。みんな「そうだと考え」早速溝を掘って雨水を外に流しました。確かに雨水を抜く作業には成功して「やった」と思い、教室に帰ったことを記憶しています。
 ところが、天気も回復して部活が始まる前になって3年生の先輩に叱られました。「お前たち、コートがでこぼこになってバスケットができんだろう?」
 確かに、溝を掘ったところがいくつかでこぼこになって、これじゃドリブルをつくときちんと手元にはもどらんな。」「足がはまったら捻挫をしてしまうな。」と思った。さらに先輩はこう付け加えてた。「溝を掘ったところから良い土も流れてしまい、その部分だけが、低くなってまた雨水がたまるぞ」と。
 そして、先輩と一緒にコートに土を入れながら、もとの状態に戻したことを、みなさんの水取り作業を見ながら思い出していました。
 3年生の先輩は、1年生のやった浅はかな作業が招く、もっと大きなことを私たちに気づかせてくれました。溝を掘ることは、悪いアイディアではないかもしれません。しかし、その瞬間の私たちの気持ちは早く水取り作業を済ませたい、という気持ちだけでした。コートを大切にするという、心の問題が抜けていたのだったのでしょう。
 ウレタンマットの切れ端をつかって、一生懸命に雨水を吸い取るのは、やはり1年生のみなさんが中心なのかもしれません。でも、そうした作業を通して学ぶこともきっとあるかと思います。嫌で大変な仕事かもしれませんが、そうした仕事をした人だけが学べる何か、そう「心」があることを信じて、前向きに取り組んで行ってください。