学校日記

卒業式 その4 式辞・来賓祝辞・来賓紹介

公開日
2012/03/25
更新日
2012/03/25

校長メッセージ

 その4は、式辞・来賓祝辞・来賓紹介の様子です。ご来賓の皆様には、お忙しい中、早朝より寒い中ご臨席賜りまして誠にありがとうございました。また、あたたかいメッセージをどうもありがとうございました。
 学校長式辞では、次のようなことを話しました。
『いつもの年よりもかなり遅れて咲きはじめた梅がようやく満開になろうとしています。桜も開花に向けて、つぼみがふくらんできました。春はすぐそこまで来ています。このよき日に、平成二十三年度第三十六回卒業証書授与式を挙行することができました。本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様、そして保護者の皆様には、早朝よりご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
 卒業証書を手にした109名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。入学式の日のことを覚えていますか。あの日から2000日以上。多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特にこの一年は大手小のリーダーとして、しっかり活躍してくれました。そのおかげで、今年度の大手小は、とてもいい一年間になりました。ありがとう。きっと、卒業証書には多くの思い出が詰まっていることでしょう。PTAからの記念品の証書フォルダーに入れ、いつまでも卒業証書を大切にしてください。
この成長は、みなさん一人一人の努力の成果ですが、自分の力だけでできたわけではありません。絶えず見守り、育ててくださったお父さん・お母さん、そして家族、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域のみなさんなど、多くの方々の「おかげ」であることを忘れないでください。今日は、お礼の気持ちを素直に感謝する日でもあります。「ありがとう」であふれる一日にしてください。
 さて、これまでみなさんにいろいろなことを話してきましたが、どれも3つのキーワード「いのち」「こころ」「みらい」に関係することばかりでした。最後の今日も同じです。
 今年もこのように本校を巣立つみなさんに卒業証書を手渡すことができました。これは、当たり前のことです。しかし、大震災以後、当たり前のことを当たり前にできることがどれだけしあわせなことであるか、感じるようになりました。だから、今日も「感謝」です。今までは、明日は当たり前のようにやってくると思っていました。しかし、「いのち」があるからこそ、明日がやってきて、いろいろなことができるのです。このことを絶対忘れてはいけません。これこそが「いのち」を大切にする原点です。
 昨年の大震災によって、我が国はたいへん困難な時代に入ってしまいました。しかし、いつの時代でも、新しい時代を切り拓く原動力になるのは若い世代です。この正月に岩手県の新聞に次のような被災地の小学生たちの未来へのメッセージが掲載されていました。
「全国からの支援がとてもうれしかった。今年はみんなが明るい気持ちで暮らせるようになったほしい。」「皆で支え合う中で地域の絆が強まった。今年は、中学生。復興に向けて私も地域の一員として役割を果たしていきたい。」
 すばらしい言葉ですね。みなさんにも、どんなことでもいいですから、ぜひ将来の我が国を支え新しい時代を創る一員になってほしいと思います。ただ、残念ながらまだまだみなさんは力不足です。今は力をつけることが一番です。
 そんなみなさんに大切にしてほしいことがあります。「プラス思考」です。この考え方は、楽天的ということではなく、物事や自分を一歩でも前に進ませるための考え方です。「みらい」に向かってチャレンジするためには、「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことです。うまくできなくても、「よく考え前向きに努力できた」ことをよろこび、次にやることを考えることです。自分で考え、自分で一歩を出し、小さくても「最善の努力」を積み重ねていくことです。
 時代をリードしてきた人は必ずこのことを実行してきました。革新的なものを次々に生み出し私たちのくらしに大きな影響を与えると同時に、さまざまなメッセージで人々の心をとらえた方、スティーブ・ジョブズ氏の言葉を紹介しましょう。彼は、残念ながら昨年秋に亡くなられましたが、若くしてアップルコンピュータという会社を立ち上げ、コンピュータを私たちの生活の中にとけ込ませ、また、携帯ミュージックプレイヤーを生み出し、さらに、スマートフォンをも世の中に登場させました。マウスも彼のアイディアです。もし、彼がいなければ、私たちが便利だと使っている多くのものが存在せず、まったく違った世界になっていたことでしょう。
 彼の一番有名なスピーチは、2005年のアメリカ・スタンフォード大学卒業式でのものです。その中で「人生は限られている。自分の信じる道を生きなければ時間のムダだ。他人の意見ばかり気にして、自分の内なる声をおさえてはいけない。あなたの心は本当になりたい自分をすでに知っているはずだ。それ以外のことは人生においてたいしたことではない。」と言っています。ちょっと難しいかもしれませんが、他人のことばかり気にせずに、自分の気持ちややりたいことを追い求めていく大切さを語りかけています。そして、彼は、このスピーチの最後を有名な言葉で締めくくっています。「Stay hungry, stay foolish.」と。これを日本語にすると「ハングリーであり続けろ、おろかであり続けろ」とか「どん欲であれ、愚直であれ」になるのでしょうか。これは、何かに満足してしまうと、それで成長は止まってしまうからハングリー精神を忘れずに、常にどん欲に向かっていこう。また、賢くなりすぎてしまっては、新しいことを生み出すことはできなってしまう。だから、いつまでも前向きな意欲を忘れずにいこうということを言いたかったのでしょう。彼自身が、この言葉どおりに生きてきて、革新的なものを生み出してきたのですから、この言葉には重みがたいへんあります。
 最後に、ジョブズ氏の言葉をもう一つみなさんに贈ります。
「昨日を振り返り、明日を夢見よ。そして今を生きよ。」
 さて、在校生の皆さん。先輩たちのがんばりをしっかりと受け継ぎ、大手小をもっともっとすばらしい学校へ発展させることを約束しましょう。そのためには、みなさんもプラス思考で、小さな努力の積み重ねです。流れは先輩たちが創ってくれました。次は、ひとつひとつのことをもっと細かく、そしてていねいに積み上げることがみなさんの役割です。期待しています。
 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、心から感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後も大手小学校をあたたかく見守って頂き、側面からのご協力をよろしくお願い申し上げます。
 さあ、卒業生の皆さん、「みらい」へ向けて出発です。お互いにいいところを見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。そのために一番大切なのは「いのち」、健康な心とからだです。
 みなさんの新しい世界でのさらなる飛躍を心から期待し、式辞といたします。
 平成24年3月19日 春日井市立大手小学校長  水谷年孝』