学校日記

第40回卒業証書授与式 式辞

公開日
2016/03/18
更新日
2016/03/18

校長メッセージ

 校庭の桜も、たくさんのつぼみをふくらませるようになりました。弥生の風はまだ冷たいですが、次第に春を感じさせる柔らかな日差しとなってきました。
 89名の卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。
 希望と喜びにあふれるこのよき日に、堀尾龍二様はじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜りますとともに、保護者のご列席をいただき、ここに第40回卒業証書授与式を盛大に行うことができますことを、心より厚くお礼申し上げます。
 さて、卒業生のみなさん。みなさんと出会った3年生からのことを思い出しながら、卒業証書を一人一人に渡しました。みなさんが手にしている卒業証書は、小学校で学ぶべきことを全て学び終えたという、6年間努力を重ねた証です。そして、この大手小学校の卒業生であるという証明書を受け取ったわけです。是非とも、大手小学校の卒業生としての誇りを持ち、自信と勇気を持って中学校でもがんばってほしいと心から願っています。
 卒業証書を手にして、今、6年間の歳月を思い起こして、ここまで成長したことの喜びをかみしめていることでしょう。
 小さかったみなさんが大きなランドセルを背負って大手小学校に通い始めてから、6年が過ぎました。みなさんは、この6年間で多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特に、この一年間は、大手小学校の牽引役として活躍する姿をたくさん見せてもらいました。5年生の手本となった組み立て体操、熱心に話を聞きながら取り組んだ流鏑馬授業、なかよし班のリーダーとして活躍した大手っ子秋まつり、気持ちを一つにして歌った大手のつどい。どんなことにも、一人一人が一生懸命取り組んでいた姿が心に残っています。
 この成長は、みなさん一人一人の努力の成果ですが、自分の力だけでできたわけではありません。けがや病気をしながらも、元気に今があるのは家族のおかげです。絶えず見守り、育ててくださったお父さんお母さん、家族、これまでに出会った先生方や友達、また、登下校を見守って頂いた地域のみなさんなど、多くの方々の支えが、みなさんをここまで成長させてくれたことを忘れないでください。
 さて、昨年平成27年は、大手小にとって、開校から40周年を迎えた記念すべき年でした。みなさんが4年生の時に始まった雨水調整池工事が終わり、全校で苗植えをした芝生広場も完成し、50周年への新たな10年のスタートの年となりました。
 日本国内では、ラグビーワールドカップで日本チームが大躍進、フィギアスケートで羽生結弦選手が世界最高得点を獲得、サッカーワールドカップでなでしこジャパンが準優勝など、スポーツ界で日本人が大活躍をしました。そして、12月には、2人の日本人がノーベル賞を受賞しました。大村智氏は、寄生虫やマラリアなどに関する研究成果で医学・生理学賞、梶田隆章氏は、宇宙や物質が誕生した謎の解明に迫る業績が評価されて物理学賞を受賞しました。
 どの業績も、偶然や運によるものでなく、計画的で地道な練習や数多くの失敗と長年の研究によって得られたものです。
 昨年行われたワールドカップイングランド大会では、これまで過去7回の大会で一勝しかしていない日本チームが、今大会だけで3勝し、世界ランキング3位だった南アフリカ相手に大金星を挙げることができました。この急成長を引っ張ったのが、4年前にヘッドコーチに就任したエディー・ジョーンズ氏です。ジョーンズ氏は、目標を4年後のワールドカップにすえ、世界一をめざすチーム作りに取り組みました。朝の5時から夜まで続く世界一の圧倒的な練習量で、世界基準に追いつくことをめざしました。そして、量より質を重視して、一日一時間から一時間半の練習を3回から4回行うのを基本としました。さらに、体格で優る世界チームと対等に戦うために、パスと走りを重視した日本独自のラグビーを徹底させました。その結果、選手たちの心も変化し、世界レベルになるために「学びたい、より良くなりたい」という気持ちを持って練習することができるようになり、チームで大きな成果を勝ち取ることができました。
 ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智氏は、「毎年2億人以上を感染症から救う」といわれる日本人ですが、医師ではありません。定時制高校の先生から有機化学者となった大村氏は、微生物や寄生虫について長年の研究を続け、静岡県の土の中の微生物から薬を開発しました。そのわずか3ミリの錠剤を一回飲むことで、熱帯地方特有の病気で失明や視覚障害を引き起こす感染症を防ぎ、現地の人が元気に働けるようになることで、食糧の増産など大きな経済効果をもたらしました。大村氏には、「人のまねをするな」という人生を貫く深い信念があり、ノーベル賞受賞後の会見では、「楽な道を行くと本当のいい人生にならない」「人のまねをするとそこで終わり。超えることはできない」「成功した人は、人より倍も3倍も失敗している」と、人々を勇気づける言葉がたくさんありました。
 ラグビー日本チームも大村氏も、「強くなりたい」「人の役に立ちたい」という願いが原動力となり、どんな困難も乗り越え、成果を得ることができました。
 義務教育の最終ステージへ旅立つみなさん、中学校では勉強も難しくなり、部活動も始まります。大手小学校の校章には、5本のペンが刻まれています。ペンは「学び」の象徴です。大手小学校の卒業生としての自覚と誇りを持って、小学校で培った力を思い切り発揮してください。そして、この後の別れの言葉で歌う「希望という名の花を」の歌詞にあるように、未来をさがしながら、『希望の花』を咲かせてください。希望や願いを持てば、必ず自分を変えることができます。
 最後になりましたが、保護者の皆様、本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。これまで12年間にわたり、陰になり日なたになって、子どもたちを支えてくださったご苦労に対して、心より敬意を表すると同時に、これからのますますのご発展を祈念しております。また、6年間、みんなの保護者という目で、どの子にも優しく時には厳しく接してくださり、ありがとうございました。おかげで子どもたちは、自分の都合だけでなく、広く考える視野を持つようになってきました。共に手を取り子どもたちを育ててくださったことに深く感謝しております。
 子どもたちも4月からは中学生として、これまでとは違った環境で新しいスタートを切り、成長の上からも最も難しい時期に入ります。楽しみも多い反面、心を悩まされることも多くなります。時には子どもたちから突き放されることがあるかもしれませんが、親子の絆をしっかり結んでくださることをお願いいたします。「あなたを育てたことを誇りに思う」ということを子どもたちに是非伝えてください。そして、これまで同様、その成長を温かく見守り、支えていただければと思います。
 最後に、卒業生のみなさん、小学校生活最後を飾って、心のこもった別れの言葉、美しい歌声を会場のみなさんに聞かせてください。
 卒業おめでとうございます。
 以上を、私の式辞といたします。
         平成28年3月18日

         春日井市立大手小学校長
                渡辺 徹