学校日記

卒業式 その4 式辞

公開日
2010/03/23
更新日
2010/03/23

校長メッセージ

 冬の夜空の主役「オリオン座」にかわって、おとめ座の「スピカ」の輝きを見ることができるようになってきました。また、校庭の桜のつぼみも日ごとにふくらみ、開花まであとわずかになりました。このように春の訪れを感じさせるこのよき日に、平成二十一年度第三十七回卒業証書授与式を迎えることができました。本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様、そして保護者の皆様には、早朝よりご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
 さて、卒業証書を手にした四十八名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 今、この一年間のことを振り返りながら、卒業証書を一人一人に渡しました。みなさんは、この六年間で多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特に、この一年間は、リーダーとして活躍してくれました。ありがとう。その活動ぶりは、在校生がしっかりと受け継いでいきます。
 この六年間の成長は、当然みなさん一人一人の努力の成果ですが、自分の力だけでできたわけではありません。それを絶えず見守り、育ててくださったお父さん・お母さん、そして家族のみなさん、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域の方々、このように多くの方々の「おかげ」であることを忘れないでください。そして、今日は、そのお礼の気持ちを素直に感謝する日でもあります。「ありがとう」を忘れずに。
 さて、みなさんにこれまで何度もお話ししてきた三つのことばがありましたね。そうです、「いのち・こころ・みらい」です。卒業の門出にあたり、「こころ」「みらい」についてお話をしたいと思います。キーワードは「プラス思考」・「最善の努力」・「いいとこ見つけ」の三つです。
 最初は「みらい」のことです。ちょうど1か月前のことでした。「成功しても失敗しても跳ぶと決めていた。四回転ジャンプをやらないで勝っても、一生後悔する。」これは、大きなケガから復活して銅メダリストになった男子フィギュアの高橋選手が、インタビューに答えたものです。
 「できなかったらどうしようか。」何かに取り組む時に、だれもが直面する不安です。しかも、みなさんも感じているかもしれませんが、最近の世の中では、ちょっとしたミスも許さず、厳しく批判されてしまう雰囲気を感じます。こんな状況では、どうしても不安ばかりで、一歩前に出ることをためらってしまいます。これでは「みらい」を開くことはできません。
 では、高橋選手はこの不安をどのように乗り越えていったのでしょうか。それは、彼のメダリストへの道程から、学ぶことができます。彼は、オリンピック一年前に大きなケガをして、まったく結果を残すことができませんでした。しかも、手術後のリハビリ中には、一時は挫折しそうにもなってしまいました。しかし、コーチのサポートもあり、立ち直り、逆に逃げない強さをつかむことになりました。その後は、コーチと共に「最善の努力」を積み重ね、オリンピック代表になりました。
 そして、オリンピック直前に、彼は「目標は高く持たないと達成できない。自分のやってきたことを信じてやれば、何かの大きな力がついて勝てるかもしれない。」と「プラス思考」。頂点をめざしたフリーでは先ほど紹介したように「四回転ジャンプをやらないで勝っても一生後悔する」との思いから四回転ジャンプにチャレンジ。しかし、残念ながら失敗。でも、「頭を切り替えて次にいけた。ふだんから成功しても失敗しても影響のないように練習をしてきた。」と「最善の努力」の成果と「プラス思考」でついにメダルを獲得することになりました。
 「プラス思考」とは、名前のとおり物事がプラスの方向に進むための考え方。楽天的ということではなく、物事や自分を一歩でも前に進ませるための考え方です。「みらい」に向かってチャレンジするためには、「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、「プラス思考」で「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことです。そして、自分で考え、自分で一歩を出して、小さくても「最善の努力」を積み重ねてください。
 もう一つの「こころ」のことも同じようなことです。この一年間、「いいとこ見つけ」をしようとみなさんに言ってきました。これも、「プラス思考」の一つです。楽しく学校生活を送るためには、いい人間関係を作り、仲間を増やすことが一番です。でも、ささいなことでトラブルになることが少なくありません。そんなときこそ「プラス思考」をして「いいとこ見つけ」をいっぱいしてほしいのです。
 完璧な人間なんてどこにもいません。悪いところだけ見ていては、何もいいことは生まれてきません。そんな時は、「いいとこ見つけ」です。いいところをいっぱい見つけて「わかってあげる」ことです。誰だって、いい人間関係を作りたいものです。「わかってほしい」なら「わかってあげて」そして「わかりあう」しかありません。また、「認めてほしい」なら「認めてあげる」ことが先ではないでしょうか。
 こんな考えを多くの人が理解して、互いに接していけば、みんなが幸せになり、必ず自分にも同じように戻ってきて、きっと互いに自信を持って生活できると思います。このことを忘れずに、続けていってください。
 さて、在校生の皆さん。先輩たちのがんばりをしっかりと受け継ぎ、西藤小をさらにすばらしい学校へ発展させることを約束しましょう。そのためには、みなさんもプラス思考で、小さな最善の努力の積み重ねです。
 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、心から感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後も西藤山台小学校を見守って頂き、側面からのご協力をよろしくお願い申し上げます。
 さあ、卒業生の皆さん、輝かしい「みらい」への旅立ちです。「人が夢をつくり 夢が人をつくる」と言います。プラス思考で、小さな最善の努力を積み重ねてください。そして、仲間と協力していく中で、いいところをいっぱい見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。そのための基礎になるのはもちろん「いのち」、健康な心とからだです。みなさんの新しい世界での飛躍を心から期待し、式辞といたします。
 平成二十二年三月十九日 春日井市立西藤山台小学校長 水谷年孝