学校日記

卒業式 その3 式辞

公開日
2009/03/23
更新日
2009/03/23

校長メッセージ

 校庭の桜のつぼみも日ごとにふくらみ、春の訪れを感じさせるこのよき日に、平成二十年度第三十六回卒業証書授与式を迎えることができました。本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様には、早朝よりご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
 さて、卒業証書を手にした五十二名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
今、この一年間のことを振り返りながら、六年間の小学校の課程を終えた証しである卒業証書を一人一人に渡しました。きっとみなさんもこの六年間のいろいろな思い出が浮かんでいたことでしょう。
 みなさんは、この六年間で多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特に、この一年間は、最高学年として、リーダーとして活躍してくれました。ありがとう。その活動ぶりは、在校生がしっかりと受け継いでいくことでしょう。
 この六年間の成長は、当然みなさん一人一人の努力の成果でありますが、自分一人の力だけでできたわけではありません。それを絶えず見守り、育ててくださったお父さん・お母さん、そして家族のみなさん、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域の方々、このように多くの方々のおかげで成長できたことを忘れないでください。そして、今日は、そのお礼の気持ちを素直に感謝する日でもあります。「ありがとう」を忘れずに。
 さて、これまでみなさんにお話してきた大切にしてほしい三つのことがありましたね。そうです、「いのち・こころ・みらい」です。卒業の門出に当たり、「こころ」「みらい」を中心にお話をしたいと思います。
最初は「こころ」のこと。みなさんに、「わかりあおう、そのためには、明るくあいさつをどんどんして、こころのドアを開けていきましょう。」ということをこれまで話してきました。今日は、その次の段階のことを考えてみましょう。こころのドアを開けたら、次は行ったり来たり、それがコミュニケーションです。
 日本人初の三ヶ月間の宇宙長期滞在のために、月曜日にスペースシャトルで出発した宇宙飛行士の若田光一さんは、昨日国際宇宙ステーションに着きました。狭く閉ざされた空間での、しかもいろいろな国の方との長期生活には、息のあった関係がなくてはなりません。だから、宇宙飛行士になるには、知力・体力とともに、コミュニケーションの力がとても大切なのです。
 このことについて、若田宇宙飛行士は「共通の話題をきっかけに、教え合ったり、お互いを補うように会話をしたり、いろいろな問題について語り合ったりすることを続けることで、お互いのあいだの風通しがよくなっていくのです。」と言ってみえます。
また、年末から半年間の長期滞在をする野口宇宙飛行士は、「ちょっとしたことでも話していくこと。その中で、小さな違いを確認していき、関係を作ることです。日本人は、同じはずなのに、どうして違うことを言うのだろうと考えがちです。そうでなく、違うことを前提にして、同じことを探していくことが大切です。」と。二人の宇宙飛行士の話の中に、いっぱいヒントがありますね。
 一人として同じ人間はいません。違っていることを悪いと思っていては、何もいいことは生まれません。大切なのは、違うことを出発点にして、プラス思考・いいとこみつけです。いいところを最初に見て「わかってあげる」ことです。「わかってほしい」なら、「わかってあげて」そして「わかりあう」しかありません。共通の話題をもとに、違いを互いに補うように、わかりあう。こんな気持ちでお互いに接していけば、みんなが幸せになり、必ず自分にとっても楽しく、いい人間関係ができあがります。みなさんも、こんな小さな努力の積み重ねをして、もっと気持ちのいい、楽しい生活を送ってほしいと思います。
 もう一つは、「みらい」のことです。この一年間の明るい話題の中で、私が一番と思うことは、四人の日本人科学者のノーベル賞受賞のことです。このことは、みなさんが大きくなったときに、きっと六年生だったときの出来事として思い出すことの一つでしょう。今日は、その中の一人の愛知県出身の小林 誠先生の次の言葉を皆さんに贈ります。
「それぞれ考えを持ち、深めていくことでバリエーションが生まれる。若い人には、自分の考えを伸ばしていく、自分の考えを伸ばして、自分で考えろ、ということだ。」
 「みらい」に向かって、どんどん自分ができることを増やしていくためには、夢を持ち、目標を決めて、進んでチャレンジです。「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことです。ここでもプラス思考です。自分で考え、自分で一歩を出していきましょう。
 さて、在校生の皆さん。先輩が築いてくださった輝かしい伝統とよき校風をしっかりと受け継ぎ、さらに発展させることを約束しましょう。そのためには、みなさんもプラス思考で、小さな努力を積み重ねていきましょう。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、心から感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。これからも、西藤山台小学校を見守って頂き、側面からのご協力をよろしくお願い申し上げます。
さあ、卒業生の皆さん、輝かしい「みらい」への旅立ちの時が来ました。これからも小さな努力を積み重ね、そして、仲間と協力していく中で、いいところをいっぱい見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。そのための基礎になるのはもちろん「いのち」、健康な心とからだです。みなさんの健康を祈りながら、新しい世界での飛躍を心から期待し、式辞といたします。
平成21年3月19日 春日井市立西藤山台小学校長 水谷年孝