式辞　　　　　　　　　　　　　　　　H30.3.6

暖かな日射しや木々の芽のふくらみ、小鳥の囀りから、春の息吹を感じる季節となりました。
この佳き日に、多数のご来賓・保護者の皆様にご臨席賜り、卒業証書授与式が挙行できますことは、この上ない喜びです。高い所からではございますが、深く感謝申し上げます。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。心より祝福いたします。本年度卒業する皆さんは、本校にとって、開校四十周年という大きな節目での卒業生です。このような節目の佳き日を多くの方々と一緒にお祝いできることを本当にうれしく感じています。卒業証書を手にした今、皆さんの心には多くのことが去来していることでしょう。
凡事事徹底＋・チーム高森台中を合い言葉に過ごした三年間の日々が積み重なって、この日を迎えています。一人一人の脳裏に浮かぶ光景は違っても、高森台中学校で一緒に過ごした日々は、高森台中学校に、そして、みんなの心に、かけがえのないものとして刻みこまれています。
格別、最上級生としての一年間は、皆さんにとって、特に印象深く心に刻みこまれているのではないでしょうか。毎日の明るく元気な挨拶、集中と静寂を共有する朝読書。気心知れた友達や仲間との楽しく過ごす休み時間や給食の時間。
そして、先生や仲間と一緒に集中して、そしてねばり強く取り組んだ毎日の授業や部活動。さらに、体育大会や高森祭で思う存分発揮された、最後までみんなで一緒にやり遂げる姿勢と行動は、まさに生徒会のテーマ「全躍」のとおり、高森台中全員で踏み出す一歩の大きさ、大切さを実感させるものでした。
このような皆さんの姿は、後輩の素晴らしい見本であり、私たちの誇りでした。卒業生の皆さんの、姿勢と行動に心より感謝しています。

さて、高森台中学校を巣立つ皆さんと共有したいことがあります。「未来への姿勢と行動」についてです。
今年の一月、春日井市平成三十年成人式に参加したときのことです。市内の各中学校の卒業生代表の皆さんが壇上で希望の灯により成人の誓いを述べる場面で、高森台中の卒業生代表が紹介されると同時に、それまで静かだったフロアの一角から拍手がわき起こりました。きっと当時の高中生・先生方で仲間を大切にしようとしてきたことが、卒業五年後の場面でも自然に表れたのではないかと想像しました。厳かな雰囲気の中でのとても温かな場面として、強く印象に残っています。
繰り返しになりますが、本年度は本校が開校し四十年の節目の年です。昭和五十三年の開校当時から変わることなく受け継がれてきたものには、校訓や校章、校歌、生活五つの約束などがあります。一方、少しずつ変化しながら受け継がれてきたものがあります。それは校風です。
先輩たちが築き育んできたものが、その時々に少しずつ形を変えながら今日に受け継がれています。例えば、いつでも元気にあいさつをする、仲間を大事にする。そして楽しみながらも真剣に行事に取り組む、などがそれにあたるのではないでしょうか。
このような校風のもとで一緒に共有してきたものは、皆さんの中に、今後もずっと大事なものとして残っていくはずです。先ほどお話しした、成人式でのワンシーンは、まさにそれが当たり前のように表れたものなのだと受けとめています。
一方、卒業生の皆さんが高森台中で過ごし成長した三年を含めたこの十年は、世の中がめまぐるしく動き、時代は大きく変化してきました。例えば、自動車の自動運転や、調べたいことは瞬時に検索できるだけでなく、ＡＩスピーカーに話しかければ応答があることが普通になりました。
他方では、東日本大震災など大きな困難を共有し、それらを乗り越えるべく、支え合ってきました。本当に多くの努力により今日があります。このように、長く受け継がれ変わらないものもあれば、大きな変化により乗り越えていかなければならないこともあります。
人生百年時代、予測困難な社会と言われていますが、どんな未来が待っているのでしょうか。その答えは皆さんの姿勢と行動により決まります。これからの未来は、皆さん一人一人が築き担っていくのです。どんな未来であっても大切なのは、夢や希望、そして目標を持って、地道に努力を重ねていくこと、つまり、自分自身に挑戦し続けることです。

失敗や、思い通りにいかないことはたくさんあります。それでも、仲間と支え合いながら、夢や希望、目標に向かって、決してあきらめることなく、ねばり強く、自らが進んで学び行動し、継続してやり遂げる。これこそが自ら挑戦し続ける価値ある姿勢と行動であり、その先にこそ、未来への道が続いているはずです。
そのためにも興味や関心を持って学び続けましょう。そして、人との出会いを大切にしましょう。
どこまでも広がるこの広い空、宇宙のように、無限の可能性を持つ卒業生の皆さんが、まわりの人たちの存在と感謝の気持ちを忘れずに、高森台中での仲間やこの地域・地元を大事にして、母校に誇りを持って胸を張り、未来を切り拓いていく。そのような皆さんの未来への姿勢と行動を大いに期待し、心より応援しています。

結びになりましたが、保護者の皆様方、お子様のご卒業本当におめでとうこざいます。小学校時代を含めて九年間の義務教育の課程を無事修了され、立派に成長されましたお子様の姿を前にされ、様々な思い出が駆けめぐっていることと推察いたします。
お子様共々、本日、こうして一つの節目を乗り越えられましたことに、重ねてお祝い申し上げます。また、これまで本校に寄せられましたご厚情に感謝致しますと共に、これからも地域の学校としてご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上、卒業生の皆さんの前途に、幸多からんことを心より祈念して、式辞といたします。

平成三十年　三月六日
春日井市立高森台中学校長　
田中雅也