2月20日朝会(オンライン)
- 公開日
- 2023/02/20
- 更新日
- 2023/02/20
校長メッセージ
2月20日 朝会 学ぶ意味・目的
先ほどはとても多くの坂中生の皆さんが表彰伝達を受けました。いつも伝えていることですが、好きなことや得意なことがあって、それに取り組んだ結果、認められて表彰される、素晴らしいことですね。みんなの励みにもなります。今後もそれぞれの好きなこと・得意なことをどんどん伸ばしていきましょう。
さて、本年度3学年での最後の朝会、つまり全校で一緒の時間と場面を共有する最後の場面の一つです。この機会に皆さんと共有したいのは、「学ぶ意味・勉強する目的、学び続けること」についてです
まずはじめに今の坂中の授業・学習についての確認です。
昨年度より、授業の進め方やテストの回数など評価について大きく変わりました。また、1人1台のタブレットPCとクラウドにより学ぶ道具や環境も変わりました。勉強の仕方、学び方が変わってきたのです。「学び方改革」と表現してきました。でも、心配は無用です。坂中だけが独自に行っているのではなく、市内はもちろん全国でもどんどん坂中と同じように学び方が変化してきているのです。坂中での学びと経験に自信を持ってください。主役である坂中生の皆さんが学び方を学び、どんどん主体的に学んでいくことができるように、私たち教職員も、坂中の授業や学び方が今後も質がよくなるよう努力と行動を積み上げてきましたし、今後も継続していきます。一緒に取り組んでいきましょう。
さて、そんな中ですが、坂中生の皆さんに質問です。「何のために学びますか、勉強しますか」「誰のために学びますか、勉強しますか」と質問されたらどのように答えますか。
ちょうど1・2年生は第3回テストが終わったばかり、3年生にとってはまさに進路・受検の真っ最中ですので、「テストでよい点・よい成績を取るため」とか「受検・志望校に入るため」などの回答が多いかもしれません。もっと大きく「夢や希望を実現させるため」などと考えている人もいることでしょうね。様々な回答があると思いますが、私の答えは『「自分がよりよく生きていくため」「まわりの人とよりよく生きていくため」に勉強・学習する』です。これまでも2・3年生には同じような話しをしたことがあり、繰り返しになりますが、あらためてこの考えについて簡単に説明します。
まず、「自分がよりよく生きていくために学ぶ・勉強する」についてです。
自分の好きなことや得意なことに続けて取り組んだり、生きていく上での課題や問題、困難が生じたときにそれを解決したり乗り越えたりして豊かに自分らしく幸せを感じながら生きるために、大人になっても、さらにその後も生涯にわたって学ぶ・勉強する、学び続けるという考え方です。
次に「まわりの人とよりよく生きるために学ぶ・勉強する」についてです。
まわりの人とは身近な人かもしれませんし、もしかしたら、遠く離れた地球の裏側の人かもしれません。自分が学んだり勉強したりしたことが、まわりの人たちの役になるかもしれない、困難なことでも一緒に問題を解決していけるのではないか、そのために学び続けるということです。例えば、自然や科学を研究して、人の命を救ったり、世の中を便利にしたりすることにつながるかもしれません。また、絵や文章、歌声が、みんなを幸せな気分にできるかもしれません。
つまり、自分の幸せのため、みんなの幸せのために学ぶ・勉強する、学び続ける、という考え方です。
学ぶことや勉強は、自分のことだから、自分の好き勝手でよいということではないので、「これ、勉強してもしょうがない」「自分には関係ない」ということにはなりません。途中で勉強を投げ出さない、諦めないなど、決して学ぶことや勉強から背を向けません。また、わからなくても、自分で粘り強く努力をしたり、まわりの人と教え合ったりしながら、みんなで高め合っていく。互いの好きなことや得意を生かし合う。そんな姿勢が大事だと考えています。だからこそ、日常の普段のいつもの授業や学習をおろそかにしないで、ちゃんと取り組むことが大切なのだと思います。テストも大事、提出物も疎かにしてはいけませんが、テストや提出物のために勉強するわけではないと言うことです。
さらに、今、そしてこれから求められる学び方は2つあります。1つは、自分で選んだり決めたりしながら、自分自身が「主体的に学ぶ」こと、もう1つは、習得した知識や技能をつかって、つなげて考えて問題を解決したり、考えを伝え合うなど、どんどん外やまわりに表現し、「アウトプットして」協働していくいくことです。どちらも共通しているのは、言われて勉強するとか、誰かが決めたことばかりを勉強するのではなく、いくつかの選択肢の中から自分で選択してみたり、自分の考えをどんどん発信し合ってよりより解決方法を見つけ出したりする学び方なのです。そして、学びは学校だけではありません。むしろその先こそ多く学びながら課題を解決していく、つまり学び続けることが大事なのです。
では、なぜ、学び続けるのでしょうか。私たちは、中学校を卒業した後も大人になった後も学び続けます。先ほどのなぜ学ぶのか、誰のために学ぶのかとつなげて考えてみるよいかもしれません。
ここで、先人の言葉を参考にして考えてみましょう。
佐藤一斎(さとういっさい)という、江戸時代幕末の儒学者の言葉です。愛知県の隣の岐阜県恵那市岩村出身の儒学者です。
こういう言葉です。
『少(わか)くして学べば、則(すなわ)ち壮にして為(な)すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰(おとろ)えず。老(お)いて学べば、則ち死して朽(く)ちず。』
古典を勉強してきている2・3年生の皆さんは、意味がおおよそ予想できるのではないでしょうか。
『少(わか)くして学べば壮にして為すあり。』とは、子どものころからしっかり勉強しておけば、大人になって世のため、人のため に役に立つ人間になる。
『壮にして学べば老いて衰えず。』とは、大人 になってからも更(さら)に学び続ければ、年をとっても衰えない。いつまでも活き活きとしていられる。
『老いて学べば死して朽ちず。』とは、年をとってからも学ぶことをやめなければ、益々学びが円熟し、高い見識を持って生活でき、死んだ後も自分の業績は残り次の人々にも引き継が れていく。
そんな意味です。皆さんはどう受け止めましたか。
人生100年時代、予測困難な時代と言われはじめて既に何年か経過しました。また一方では、ChatGPTやさらにそれを越えるAI検索誕生の話題などのように、AIが人の代わりに莫大な情報を処理してデータや知識を提供してくれる時代になってきました。事実、何でもPCやスマホで検索すれば、それなりの答えが見つかります。でも、AIは相手の表情を見て感じたり、心を揺さぶるような体験を提供したりしてくれることはありません。また、これからは、これまでと全く違った課題が発生するかもしれませんし、豊かで明るい未来がやってくるかもしれません。そんな時代ですが、それぞれの年代で、私たちは「なぜ学ぶのか」そして「学び続けるのか」について考えていくことはとても大切なことです。きっといろいろな考え・答えがあるはずです。1・2年生の人は、定期テストが終わった後の今のタイミングで、そして、3年生の皆さんは、卒業、進路の区切りが付いた節目の機会に、自分をよく見つめて振り返りつつ、是非、学ぶ意味・勉強する目的、そして学び続けることについてじっくり考えてみてください。大事なキーワードです。
最後です。いつも通り「健康安全第一」でお願いします。
3年生の皆さんにとっては、卒業まで2週弱、1・2年生にとっても残り1か月です。まとめと準備の3学期を最後まで笑顔で過ごせるように、1つ1つをしっかりやり抜いていくよう、よろしくお願いします。以上でお話を終わります。