卒業式 その3
- 公開日
- 2020/03/29
- 更新日
- 2020/03/29
今日の学校
その3は、式辞です。
令和元年度卒業証書授与式 学校長式辞
いつもの年よりとても暖かい冬でした。桜は急につぼみがふくらみ、開花まであとわずかとなったこのよき日に、令和最初の令和元年度第十三回卒業証書授与式を挙行することができました。本日は、ご多用の中、保護者の皆様には、ご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
異例の3月でした。新型コロナウィルス感染症対策で急に臨時休校となり、小学校生活最後のまとめの1か月が不完全な形となり、さらに、この卒業証書授与式も在校生の出席がない形となりました。しかし、結果的には、急な全国一斉の休校に加え、いろいろなイベントも自粛になったことで、最近の諸外国のようなとてもたいへんな状況にはなっていません。そのおかげで、本日この場でみなさんに卒業証書を手渡すことができました。しかし、完全な形で行うことができなかったことは、とても残念なことでした。この先も、まだまだ出口が見えない状況です。新しい中学校生活の大事なスタートが、少しでもいい状況で切ることができることを祈っています。
さて、卒業証書を手にした一二六名の第十三回卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。六年前の入学式のことを覚えていますか。少し気温が低い日でしたが、満開になった桜に迎えられたあの日から二〇〇〇日以上。小さな努力の積み重ねで、大きく成長しました。学んだこと、成長したことをいっぱい振り返ることができるでしょう。特に、この一年間は出川小のリーダーとして、すばらしい一年間を創り上げました。ありがとう。もちろん、これは皆さん自身のがんばりの成果ですが、いつも見守り育ててくださった家族、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域のみなさんなど、多くのみなさんの「おかげ」です。今日は、いつもはきちんと伝えることができていない「ありがとう」の感謝の気持ちをきちんと伝えてほしいと思います。
さて、卒業文集にも書いたように、我が国は、この先どんどん人口が減っていきます。人口が減るということは、働いて社会を支える人が減って、今と同じような状態で働いていては、同じ暮らしはできなくなってしまいます。それを防ぐには、まずは、私たちが同じ時間でできることを増やすことです。さらに、人工知能AIの力を借りて、正解が分かっていることは人工知能AIが解決し、私たちは正解のないことへのチャレンジをしていくことです。
このためには、与えられた情報だけではなく、自分で情報を探してチャレンジするしかありません。知識は大事ですが、知識にたどり着く方法を多く身に付けていることこそ大切です。また、考え方やまとめ方などのスキルを多く身に付けることも、とても大切です。ですので、「できることを増やそう」と、みなさんに言い続けてきたのです。ただ、簡単に身に付くものではなく、いろいろなチャレンジをし続けるしかありません。
そんなみなさんに、昨年のノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生の次の言葉を送ります。それは、「無駄なことをいっぱいしないと新しいことは生まれてこない。」です。吉野先生は、スマホやパソコンなどに用いられているリチウムイオン電池の発明者の一人で、吉野先生の発明のおかげで、私たちは便利な生活ができています。目の前のことばかりだけでなく、無駄と思うようなことにもいっぱいチャレンジしていると、はじめて本当に必要なことにたどり着くことができるものです。また、吉野先生は「頭は柔らかくないといけないが、コツコツと執着心を持って、諦めないことも大事。」や「必ずどこかにゴールがあり宝物がある。自信を持てれば、苦しくても乗り越えられる。」とも言ってみえます。みなさんは、もちろん、もっと基本的な知識を学ぶ必要がありますが、そんな中でも「学び方」「考え方」をどんどん身に付けることができます。人生百年時代、学びと身に付けたスキルをフル回転させた思考の連続です。今後のみなさんの活躍を期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。いつもとは違った卒業式になりましたが、思い出の中の六年前の真新しいランドセル姿と本日の立派に成長された姿と比べて、さぞお喜びのことと思います。おめでとうございます。また、今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、職員一同、心から感謝と御礼を申し上げます。今後も本校をあたたかく見守って頂きますように、よろしくお願い申し上げます。
さあ、十三回生の皆さん、「みらい」へ出発です。さらに学びのスキルをいっぱい身につけてください。そして、他の人と比べるのではなく、ちょっと前の自分と比べて成長を確認してください。そんな時に大切なのは、やはり仲間です。「人の長所が目につく人は幸せである」と言います。お互いに「いいところ」を見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。さらに大切なのは「いのち」、健康な心とからだです。みなさんの新しい世界でのさらなる飛躍を心から期待し、式辞といたします。本日は、おめでとうございます。