卒業式 その3
- 公開日
- 2019/03/26
- 更新日
- 2019/03/26
今日の学校
その3は、式辞、来賓あいさつ・紹介です。早朝より多くのご来賓にご列席いただきました。ありがとうございました。
以下は、式辞です。
平成三十年度卒業証書授与式 学校長式辞
いつもの年より暖かい冬でしたが、春の訪れはやはりうれしいものです。桜も急につぼみがふくらみ開花まであとわずかとなったこのよき日に、平成三十年度第十二回卒業証書授与式を挙行することができました。本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様、そして保護者の皆様には、早朝よりご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
卒業証書を手にした一三十名の第十二回卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。六年前の入学式のことを覚えていますか。例年より早く満開になった桜に迎えられたあの日から二〇〇〇日以上。小さな努力の積み重ねで、大きく成長しましたね。学んだこと、成長したことをいっぱい振り返ることができるでしょう。特に、この一年間は出川小のリーダーとして、すばらしい一年間を創り上げました。ありがとう。
ただ、それは自分の力だけではなく、いつも見守り育ててくださった家族、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域のみなさんなど、多くのみなさんの「おかげ」です。今日は「ありがとう」と感謝の気持ちをきちんと伝えてください。
さて、先日みなさんに話したように、我が国は、人口がどんどん減っていく厳しい時代に入り、みなさんが社会の中心として活躍する二〜三十年後は、これまでの暮らしを持続するために、現実世界とネット世界が融合して知識や情報が共有された「society5.0」の時代が実現していることでしょう。そして、正解が分かっていることは人工知能AIが解決し、私たちは正解のないことへのチャレンジばかりのちょっと厳しい時代になると言われています。
「人類の手が新しい小さな星に届いた」これは、二月二十二日に小惑星「りゅうぐう」への着陸と岩石を取るための弾丸発射に成功した「はやぶさ2」の津田プロジェクトマネージャーの喜びの声。このミッションは、まさしく正解のないことへのチャレンジの連続。初代はやぶさは、小惑星「イトカワ」に人類初の着陸に成功しましたが、岩石採集は装置がうまく動かずに不完全になってしまいました。生命誕生の謎が数多く隠れていると言われている小惑星を調べることはとても重要なこと。そこで、初代はやぶさのリベンジをめざして、五年前に打ち上げられた「はやぶさ2」。昨年六月に地球から三億キロの小惑星「りゅうぐう」に無事到着。しかし、到着してみると、想定外なことに、岩がゴロゴロしていて安全に着陸できる場所がみつかりません。そこで、岩の大きさを調べ直して、わずか直径6mの着陸可能地域を発見。直径100mの範囲に着陸する予定だったので、狭いところでも着陸できるようにプログラムを組みなおし何度も着陸の練習をすることになりました。着陸当日、高度500mからは地球からの指令がなくてもりゅうぐうの地形を見ての自動運転で見事に成功。3億キロも遠いところでも、自動的に判断できるように準備してきたことはとてもすごいことです。
「高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えない」これは、初代はやぶさの川口プロジェクトマネージャーのことばです。チャレンジをしなければ、絶対にその先は見えません。水平線の向こうの見えないものを自分たちの手で見ようと、新たなチャレンジをして、未来が見えてくるのです。はやぶさ2の中心は、若い時に初代はやぶさに関わった研究者たちです。川口博士のこの言葉の通り正解のないことへのチャレンジにより、初代のリベンジを果たし、完全な成功をもたらしました。とても素晴らしいことです。
ところで、このチャレンジですが、まずは、大きな困難を小さな困難に分けることからスタートし、その次は事実をきちんと集めて、それを整理・分析して、考えを表現していくサイクルの繰り返しです。このサイクル、そうです。この一年間、ノートにシールを貼りながら何度もやってきたあのサイクルを自分でできるようにすることです。みなさんは、もちろん、もっと基本的な知識を学ぶ必要がありますが、そんな中でも「学び方」「考え方」をどんどん身に付けていくことが大事です。ただ、AIにはできない人間らしい営みである、音楽・美術・スポーツなどを創造すること、そして、人と人とのつながりをもっと大切していくことも忘れないでください。期待しています。
さて、在校生の皆さん。ここまでの時間にこれからの1年間のことを考えましたね。次はみなさんがリーダーです。これまでの卒業生のがんばりを受け継ぎ、さらに成長させて、出川小をよりすばらしい学校にすることを約束しましょう。そのために、みなさんも小さな努力の積み重ねですね。楽しみにしています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。思い出の中の六年前の真新しいランドセル姿と本日の立派に成長された姿と比べて、さぞお喜びのことと思います。おめでとうございます。また、今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、職員一同、心から感謝と御礼を申し上げます。今後も本校をあたたかく見守って頂き、側面からのご協力をよろしくお願い申し上げます。
さあ、十二回生の皆さん、「みらい」へ出発です。さらに学びのスキルを身につけてください。また、他の人と比べるのではなく、ちょっと前の自分と比べて成長を確認してください。また、やはり大切なのは仲間です。「人の長所が目につく人は幸せである」と言います。お互いに「いいところ」を見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。さらに大切なのは「いのち」、健康な心とからだです。みなさんの新しい世界でのさらなる飛躍を心から期待し、式辞といたします。