卒業式 その5 式辞
- 公開日
- 2016/03/19
- 更新日
- 2016/03/19
校長室から
平成二十七年度卒業証書授与式 学校長式辞
いつもの年よりは暖かい冬でしたが、やはり春の訪れはうれしいものです。桜も開花に向けて、つぼみがふくらんできました。このよき日に、平成二十七年度第九回卒業証書授与式を挙行することができました。
本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様、そして保護者の皆様には、早朝よりご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
卒業証書を手にした一三三名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。満開の桜に迎えられた入学式から二〇〇〇日以上。多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特にこの一年は出川小のリーダーとして、しっかり活躍してくれました。ありがとう。
私がみなさんと過ごしたのはたった一年間、しかし、先日もお話をしたように、実はみなさんの姿を二年生のころから何度も見てきました。ノートを真ん中に置き隣同士で考えを伝え合う姿、みなさんはタブレット第一世代、ノートをタブレットに変えて、さらにうまく考えを伝え合う姿、実物投影機を使って自分のノートを大きく映して発表する姿、授業の最後にちょっと迷いながらも「振り返り」を一生懸命にノートに書く姿、十一月十三日、全国から多くの方が授業を参観された日もいつものように、いや、いつも以上にがんばる姿など、立派に成長をとげ本校を巣立って行くみなさんを、たいへん誇りに思います。
この成長は、みなさん一人一人の努力の成果ですが、自分の力だけでできたわけではありません。絶えず見守り、育ててくださったお父さん・お母さん、家族、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域のみなさんなど、多くの方々の「おかげ」であることを忘れないでください。今日は、お礼の気持ちを素直に感謝する日でもあります。「ありがとう」であふれる一日にしてください。
さて、これまでみなさんにお話をしてきたこと、そして毎月の言葉は、始業式の時に話した3つのキーワード「いのち」「こころ」「みらい」に関係することばかりでした。最後の今日も同じです。
次は中学校。たった三年間ですが、いろいろな変化が大きい大切な三年間です。その時間をすばらしいものにするためのヒント、それは、「プラス思考」。「プラス思考」とは、名前のとおり物事がプラスの方向に進むための考え方。楽天的ということではなく、物事や自分を一歩でも前に進ませるための考え方です。
「きちんとやっていけば、何かに結びつくのではないかと思ってきちんとやった。自分の道が正しいと思ってがんばった。」これは、昨年秋にノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章博士の受賞記念の記者会見での言葉です。
私たちのまわりにあるすべてのものは、いろいろなとても小さな粒が集まったものです。その小さな粒を「素粒子」と呼んでいます。その素粒子の中でも一番小さくて不思議な粒が「ニュートリノ」、梶田博士が研究の対象にしていたものです。この「ニュートリノ」は、質量がない小さな粒と思われていました。しかし、梶田博士たちの実験データから、どうも質量があるらしいことがわかりました。
でも、この最初の発見から十年間も実験を繰り返し、いろいろなデータを集めて、はじめてきちんとその結果を導き出すことができました。長い時間、本当に困難な作業で、普通ならあきらめてしまうようなものだったそうです。ですが、梶田博士の言葉のとおり、自分を信じてプラス思考で、ひたすらゴールをめざしてきたことが、結果的に成功に導いたのです。
何か困難なことがあると、本当はやってみたいのに、失敗をおそれてあきらめてしまうことがあると思います。「みらい」に向かってチャレンジするためには、「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、プラス思考で「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことです。また、たとえうまくできなくても、「よく考え前向きに努力できた」ことをよろこび、次にやることを考えることです。自分で考え、自分で一歩を出し、小さくても「最善の努力」を積み重ねていくことで、大きな飛躍を手にすることができるものです。
さて、在校生の皆さん。先輩たちのがんばりをしっかりと受け継ぎ、出川小をもっともっとすばらしい学校へ発展させることを約束しましょう。そのためには、みなさんもプラス思考で、小さな努力の積み重ねです。期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、心から感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後も出川小学校をあたたかく見守って頂き、側面からのご協力をよろしくお願い申し上げます。
さあ、卒業生の皆さん、「みらい」へ向けて出発です。お互いにいいところを見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。そのために一番大切なのは「いのち」、健康な心とからだです。
みなさんの新しい世界でのさらなる飛躍を心から期待し、式辞といたします。