卒業式 その4 式辞・来賓祝辞・来賓紹介
- 公開日
- 2011/03/23
- 更新日
- 2011/03/23
校長メッセージ
その4は、式辞・来賓祝辞・来賓紹介の様子と式場内の様子です。ご来賓の皆様には、お忙しい中、ご臨席賜りまして誠にありがとうございました。また、あたたかいメッセージをどうもありがとうございました。
学校長式辞では、次のようなことを話しました。
『25年ぶりの寒い冬も徐々に遠ざかり、太陽のエネルギーを感じるようになってきました。このように春の訪れを感じさせるこの日に、平成22年度第35回卒業証書授与式を迎えることができました。
本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様、そして保護者の皆様には、早朝よりご臨席賜りまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。
さて、卒業証書を手にした89名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。みなさんと出会って一年。今、この一年間のことを思い出しながら、卒業証書と証書ファイルを一人一人に渡しました。証書のファイルは、PTAからの記念品です。このファイルで卒業証書をいつまでも大切に保管してください。
みなさん、入学式の日のことを覚えていますか。あの日から6年。多くのことを学び、からだも心も大きく成長しました。特に、この一年間は、リーダーとしてしっかり活躍してくれました。ありがとう。その活動ぶりは、この瞬間から在校生がしっかりと受け継いで、さらに良いものにしていきます。
この成長は、みなさん一人一人の努力の成果ですが、自分の力だけでできたわけではありません。絶えず見守り、育ててくださったお父さん・お母さん、そして家族、また、安全に登校できるようにと見守って頂いた地域のみなさんなど、多くの方々の「おかげ」であることを忘れないでください。今日は、お礼の気持ちを素直に感謝する日でもあります。「ありがとう」を忘れずに。
さて、一週間前の午後、大きな揺れに驚き、その後、テレビなどで見た被災地の惨状に心を痛め、何度も涙しました。被災地では、卒業式を行うことができない学校、卒業式を迎えることができなかった子がいっぱいます。昨日もお話をして、みんなで黙祷をしましたが、私たちは、今日このようにみんなで卒業式を迎えることができたことに、そして「いのち」に感謝をしなければならないと思います。
明日は当たり前のようにやってくると思っていました。しかし、「いのち」があるからこそ、明日がやってきて、いろいろなことができるという当たり前のことを再確認することになりました。
だからこそ、今自分ができることを考えて、行動です。「募金」もいいでしょう。今日は保護者の皆さんにご協力を頂きました。ありがとうございました。また、今すぐにではなく、少し落ち着いた頃に「はげましのメッセージ」を送ることもいいでしょう。さらに、みなさんが読み終わった本を送るのもいいでしょう。
でも、みなさんが一番できることは、元気に、そして仲間を大切にして前向きにがんばって力をつけることです。力をつけて、それから社会に貢献です。
被災地はたいへんな状況なのに、大きな混乱は少なく、世界中から日本人はさすがだと賞賛の声が上がっています。自分たちができることを考えて行動しているからです。
ネット上では、若い人たちが中心になって、節電を呼びかける「ヤシマ作戦」、買い占め防止を呼びかける「ウエシマ作戦」が広まっています。
避難所になっている中学校では、被災した中学生たちが学校にあった材料使って「がんばろう」と書いた横断幕を体育館に貼っているニュースを見ました。家族の安否がわからない子もいるのに、自分たちができることをしただけと。
また、こんなことも。お菓子を持ってレジに並んでいた子どもが、順番が近くなり、レジを見て考え込み、レジ横にあった募金箱にお金を入れて、お菓子を棚に戻して出て行きました。店員さんがその子の背中に向けて、涙で震えた声で「ありがとうございます」と。他にも、元気が出るいい話を読みました。みんな、小さなできることをがんばっています。
今まで、我が国は幾多の困難を乗り越えてきました。今回は特にたいへんな状況ですが、これなら乗り越えることができます。みんなで、自信を持って立ち向かっていきましょう。みんなで「日本を元気に!」です。
さて、話は変わりますが、困難な状況を乗り越えたと言えば、昨年の「はやぶさ」の帰還。
みなさんに、「はやぶさプロジェクトマネージャー」川口淳一郎博士の次のことばを送ります。
「高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えない」
昨年六月十三日深夜、オーストラリアからのネット中継の画面には、無数の星。そこに、突然まばゆい光跡が。打ち上げから七年、六十億キロもの航海を終えて地球に帰還した「はやぶさ」が大気圏に再突入、巨大な火の玉となって使命を果たした瞬間でした。
地球から二八ヶ月間かけて、小惑星「イトカワ」に到着し、岩石のかけらを採集して、地球に持ち帰るという人類初のミッションにチャレンジした「はやぶさ」。行きは順調。無事、「イトカワ」に着陸成功。しかし、岩石採集は、装置の不具合で不完全になってしまいました。そして、もっと大きなトラブルが帰路に待っていました。通信が途絶えたり、何度もエンジントラブルになったりして、満身創痍の状態に。しかし、プロジェクトチームは、決してあきらめずに、そして、決して見捨てない思いでがんばりました。「どんなに冬が厳しくても、その先には必ず春が待っている。」だから、「最悪の次には、好転の兆しがある。」と信じて、メンバーそれぞれの技術・知恵・努力の積み重ねとチームワークで、みごとに乗り越えることができました。確かに、奇跡かもしれません。でも、挑戦しようと一度決めたら、プラス思考で、ひたすらゴールをめざしてきたことが、結果的に成功に導いたのでしょう。
「高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えない」
「未来」とは「未だ来ない」と書きます。だから、未来は見えないのです。現状に安心をして、チャレンジをしなければ、絶対にその先にある水平線は見えません。その水平線の向こうの見えないものを自分たちの手で見ようとする活動、つまり、新しいことへチャレンジをすることで、次の水平線である未来が見えてくるのです。
「みらい」に向かってチャレンジするためには、「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、「プラス思考」で「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことです。自分で考え、自分で一歩を出し、小さくても「最善の努力」を積み重ねていきましょう。
さて、在校生の皆さん。先輩たちのがんばりをしっかりと受け継ぎ、大手小をもっともっとすばらしい学校へ発展させることを約束しましょう。そのためには、みなさんもプラス思考で、小さな努力の積み重ねです。期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この六年間で立派に成長されたお子様の姿をご覧になられ、さぞお喜びのことと思います。今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、心から感謝と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後も大手小学校をあたたかく見守って頂き、側面からのご協力をよろしくお願い申し上げます。
さあ、卒業生の皆さん、「みらい」への旅立ちです。「人の長所が目につく人は幸せである」と言います。仲間と協力していく中で、いいところをいっぱい見つけ合っていく「こころ」を大切にしてください。そのための基礎になるのはもちろん「いのち」、健康な心とからだです。
みなさんの新しい世界での飛躍を心から期待し、そして、今日、ここで卒業証書をみなさんに手渡すことが出来たことに感謝し、さらに、苦しい状況を乗り越えようとがんばってみえるすべてのみなさんに「共にがんばろう!」と励ましのエールを送り、式辞といたします。
平成23年3月18日 春日井市立大手小学校長 水谷年孝』