学校日記

8月27日(金曜)教頭と確認する学習内容 時計とカレンダーの位取り 6

公開日
2021/08/27
更新日
2021/08/27

お知らせ

 時間の位取りで10進法のものは、小学生でもなじみがあるものがあります。それは1秒よりも小さな時間のことで、体育の競技のタイムでよく目にします。たとえば50m走では8.9秒と表記しますし、陸上男子100mの世界記録はボルトの9.58秒と書きます。

10進法の基になっているメートル条約は1875年にパリで締結されました。これ以後、国際的にメートル法が使われるようになるのですが、なんと時間は決議されていません。実は10進法の時間を設定しようという議論もあったようなのですが、フランス革命の失敗を覚えていたのでしょう。そこで、それまでの12進法と60進法がそのまま使われることになり、

   地球の自転を基に、1秒=1日の1/86400(24×60×60)としました

 ただし、1秒以下については10進法が導入されたようです。実際に使用された記録については、近代オリンピックのものがあります。1886年の第1回アテネ大会の陸上競技の100mが12.0であり、世界公認記録としては第5回ストックホルム大会の10.6という記録が残っています。ただ、測定器はストップウオッチで、しかも手動でした。

   ところが、この1秒が後に天文学的観測から一定でないことが判明します。
   自然の現象ですから当然と言えば当然です。

 1956年になると、国際度量衡委員会で、地球の公転を基とすることが決められました。地球の自転よりも変動が少ないというのが理由でした。しかし、定義を見ればわかるように、これも一定ではないことが明らかですね。 

 そんななか、イギリスでセシウム133原子時計が開発されました。これが時間の定義の大きな転機となりました。1967年〜セシウム原子の出す電磁波の周波数による定義に変更されることとなったのです。原子時計の誕生で、固定した時間が測定可能となったためです。そこで、

   1秒=「セシウム133原子が91億9263万1770回振動する時間」と再定義しました。

 そして、現在の時間はこの1秒を基準に再構築されることとなりました。さらに、原子時計がこれだけの精度であることから、1秒以下の時間も正確に測定、規定できるようになったのです。

 その1秒以下の時間として、

   ミリ秒  (1/1000秒)
   マイクロ秒(1/1000000秒)
   ナノ秒  (1/1000000000秒)
   ピコ秒  (1/000000000000秒) 

が設定され、ご覧のとおりすべて10進法で構成されることになったのです。ちなみに、現在のコンピュータで扱う時間は、ミリ秒を最小単位としています。

 つまり、現代の時間は、古代からの取り決めを基にしてはいるものの、現代科学の粋を集めて定義し直したものを使用しているということになるわけです。