学校日記

≪校長室の窓≫ 中学生で出逢っておきたい詩

公開日
2014/03/02
更新日
2014/03/02

学校の窓

今日は、高村光太郎『智恵子抄』より、この詩を紹介します。

あどけない話

智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。

(写真は高村光太郎と智恵子 ウィキペディアより)