学校日記

今日(12月7日)は何の日?

公開日
2013/12/07
更新日
2013/12/07

今日の石尾台中

1878年12月7日、歌人、与謝野晶子が生まれました。
与謝野晶子の有名な作品をご紹介します。

君死にたまふことなかれ
 
 ああ、弟よ、君を泣く、
 君死にたまふことなかれ。
 末(すゑ)に生れし君なれば
 親のなさけは勝(まさ)りしも、
 親は刄(やいば)をにぎらせて
 人を殺せと教へしや、
 人を殺して死ねよとて
 廿四(にじふし)までを育てしや。
 
 堺の街のあきびとの
 老舗(しにせ)を誇るあるじにて、
 親の名を継ぐ君なれば、
 君死にたまふことなかれ。
 旅順の城はほろぶとも、
 ほろびずとても、何事(なにごと)ぞ、
 君は知らじな、あきびとの
 家の習ひに無きことを。
 
 君死にたまふことなかれ。
 すめらみことは、戦ひに
 おほみづからは出(い)でまさね、
 互(かたみ)に人の血を流し、
 獣(けもの)の道に死ねよとは、
 死ぬるを人の誉れとは、
 おほみこころの深ければ、
 もとより如何(いか)で思(おぼ)されん。
 
 ああ、弟よ、戦ひに
 君死にたまふことなかれ。
 過ぎにし秋を父君に
 おくれたまへる母君は、
 歎きのなかに、いたましく、
 我子(わがこ)を召され、家を守(も)り、
 安しと聞ける大御代(おほみよ)も
 母の白髪(しらが)は増さりゆく。
 
 暖簾(のれん)のかげに伏して泣く
 あえかに若き新妻を
 君忘るるや、思へるや。
 十月(とつき)も添はで別れたる
 少女(をとめ)ごころを思ひみよ。
 この世ひとりの君ならで
 ああまた誰(たれ)を頼むべき。
 君死にたまふことなかれ。

 (写真出典:ウィキペディア)