学校日記

一日一言

公開日
2013/08/19
更新日
2013/08/19

学校の窓

今日は、作家の辻邦生(つじくにお)の『光の大地』から、
次の言葉をご紹介します。

何か面白いことをしていると、人は時間を忘れる。
時間に気づかない。
しかし、無駄なことをしていると、時間はのろのろ過ぎる。
そして、無駄なことをしたとき、
時間ののろのろした肉体を感じるのだ。


石中生の皆さんへ

夏休みも「3分の2」以上が過ぎました。
時の経つのは、実に早いですね。
これまでの夏休みを振り返ってみて、充実していたでしょうか。
ただ何となく時間が過ぎてしまったというなら、
辻さんの言う「のろのろした肉体」を感じたに違いありません。

昔、あるウイスキー会社のCMのコピーに、
「時は流れない。それは積み重なるだけだ。」
というのがありました。
芳醇なウイスキーができあがるのには、たっぷりとした時間が必要です。
年代もののウイスキーは、驚くほどの値段がつきます。
いいウイスキーにするには、いい水とモルトが欠かせません。
それに原酒を寝かせるいい樽が必要です。
いいウイスキーをつくるには、いい材料といい環境が大切であり、
「時の積み重ね」が必要です。
このCMのコピーが、人の心を打つのは、
人生にも当てはまるからではないでしょうか。

しっかりと勉強し、いい経験を積み重ね、
肉体という容器の中で熟成させれば、立派な人間に育つ。
たとえ、苦渋の日々があったとしても、
それを切り抜けた経験は貴重なものとして蓄積され、
人格形成に役立つはずです。
そういう人は、「いきいきした肉体」を感じることでしょう。

残り「3分の1」弱の夏休み、
決して、無駄に過ごしてはいけません。

(写真は辻邦生です)