第44回卒業証書授与式 その3
- 公開日
- 2022/03/03
- 更新日
- 2022/03/03
行事
式辞では、次のようなことを話しました。
『先週までとても寒く、雪が舞う日が続き、この数年では一番厳しい寒さでした。しかも、新型コロナの第六波もあり、余計に寒さが厳しく感じられました。しかし、日差しは明らかに春に近づいています。この二年間、予測不可能なことの連続で本当に厳しい毎日でしたが、ここに令和三年度第四十四回卒業証書授与式を挙行することができました。本日は、ご多用の中、保護者の皆様には、ご臨席賜りまして誠にありがとうございます。また、今日までの三年間、特にこれまでと全く違った状況になったこの二年間のご支援、ご協力に、高いところからではありますが、厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、卒業証書を手にした九十七名の第四十四回卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。三二〇〇日以上も前のこと、例年よりも早く満開になり、桜吹雪に迎えられた小学校入学式のことを覚えていますか。あの日からもう九年。しかし、最後のこの二年間は、思い描いていたものとは全く違ったものになってしまったと思います。早く元通りの学校生活に、また、今度こそは、と何度も思いながらも、ついにゴールの日まで来てしまいました。ただ、先日、みなさんにこのような中学校生活の振り返りを聞きましたが、制限された生活の中でも最善を探し、いろいろなことに取り組めたことにおおむね満足していると聞いて、正直ほっとしました。先のことが予測できず、不安いっぱいの毎日ではありましたが、そんな中でも進路選択に向けて前進し、今日の日を迎えることができたことは、やはり大いに自慢をしていいことです。ただし、これは見守り育ててくださった家族を含めて、多くのみなさんの「おかげ」でもあります。今日しか伝えることができない「ありがとう」の気持ちをきちんと伝えてください。
学校新聞にも書きましたが、世界はコロナ禍以前から、グローバル化や情報化などの大きな変化の波が押し寄せ、これらが複雑に絡み合い、先のことを予測することができない不確実な状況になっていました。この状況は「ブーカ」と呼ばれています。これは変動性のV、不確実性のU、複雑性のC、曖昧性のAと四つのキーワードの頭文字を取った言葉です。この状況に新型コロナが加わり、しかも、許されないロシアの侵攻まで勃発し、さらに困難な状態になっているのです。
このような大きな状況にいきなり向かっていくことはできませんが、身の回りの予測不可能で正解のないことに直面した時には、身に付けた使える知識と考え方を使い、頭をフル回転にして、正解ではなく、納得できる解を導くことです。もちろん知識を丁寧に学ぶことはこの先も大切なことですが、使える知識であることが重要で、知識を単に暗記することではありません。また、情報にたどり着く方法、考え方やまとめ方などのスキルを多く身に付けることも重要です。ですので、「できることを増やそう」と言ってきたのです。
「21世紀に重要なただ一つのスキルは、新しいスキルを学ぶスキルだ。それ以外はすべて時間とともにすたれてゆく。」これは、マネジメント、現代経営学の父と言われている、そして「人を幸福にすること」が根本にあり、知の巨人といわれたピーター・ドラッカーの言葉です。変化の大きい不確実な時代ですので、仕事や学びは大きく変わっていきます。2030年までに世界で何億人もの雇用が自動化によって失われ、そのうち半数近くは新しいスキルを身につけ、新しい仕事に就く必要があります。ですので、「一生、新しいスキルを学び続けられる」ことが一番大切なのです。
別の言い方をすると、「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことができるということ、うまくできなくても、次にやることを考えることです。振り返ってみれば、この二年間は、まさしくこの通りのことをみなさんが取り組んで来たのといって言っていいでしょう。それが皆さんの満足感につながっていると思います。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。いつもとは違った卒業式になりましたが、思い出の中の九年前の真新しいランドセル姿と本日の立派に成長された姿と比べて、さぞお喜びのことと思います。また、今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、職員一同、心から感謝と御礼を申し上げます。今後も本校をあたたかく見守って頂きますように、よろしくお願い申し上げます。
さあ、第四十四回生の皆さん、春からの新しい生活はまだまだ厳しい状況でのスタートとなります。しかし、第六波のピークは過ぎ、新生活がスタートする四月には今度こそ好転していることと期待をしています。最後に、自分の成長はなかなかわからないものです。他の人と比べるのではなく、ちょっと前の自分と比べて成長を確認してください。また、「人の長所が目につく人は幸せ」と言われます。そんな「こころ」を大切にしてください。さらに大切なのは「いのち」、健康な心とからだ。マスクを外して再開できること日のことを楽しみに、また、スモールステップでも前進を続けていくみなさんの姿を期待し、式辞といたします。本日は、おめでとうございます。』