第43回卒業証書授与式 その2
- 公開日
- 2021/03/03
- 更新日
- 2021/03/03
行事
入場・退場や式中の様子です。今回は、合唱が全くできないので、その代わりに感謝を伝える動画を学年で作成して、式の最後に上映しました。
なお、式辞では、次のようなことを話しました。
『ここ数年に比べて雪が舞う日が多く厳しい冬でしたが、日差しは明らかに春に近づいています。この1年間、予測不可能なことの連続で本当に厳しい毎日でしたが、第43回卒業証書授与式を挙行することができました。
さて、卒業証書を手にした102名の第43回卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。九年前の小学校入学式から3000日以上。しかし、最後の1年間は、思い描いていたこととは全く違ったものになったことと思います。どうして自分たちの最後の1年間がこんなことになってしまったのかと嘆いたことは、一度ではないでしょう。しかし、いろいろと制限された生活が続き、しかも、先のことが予測できず、不安いっぱいの毎日ではありましたが、最善を探しながら、進路選択に向けて前進し、今日の日を迎えることができたことは、大いに自慢をしていいことです。もちろん、これは見守り育ててくださった家族を含めて、多くのみなさんの「おかげ」でもあります。今日は、いつもは伝えることができていない「ありがとう」の気持ちをきちんと伝えてほしいと思います。
さて、学校新聞にも書きましたが、新型コロナ感染症の影響がなくなっても、グローバル化や情報化が加速度的に進み、さらに、社会の多様性がこれまで以上に求められ、一層予測不可能な状況が続くと言われています。さらに、我が国では急速な人口減少と高齢化が進展しており、働いて社会を支える人が減り、今の暮らしを持続することが厳しくなります。これを防ぐには、私たちが同じ時間で対応できる量も質も向上させるしかありません。また、支える技術の実現も必要です。その技術の中心がAIとIoTで、それが実現した近未来の日本の姿が、先日各クラスでみなさんと見た動画に出てきたSociety5.0の世界です。
このように、社会がどんどん高度化をしていくことにあわせて、みなさんもチャレンジして行く必要があります。このチャレンジは、自分で情報を探すことから始まり、そして、集めた情報を整理・分析をして、最後にまとめてアウトプットの繰り返しです。知識はもちろん大事ですが、情報にたどり着く方法、考え方やまとめ方などのスキルを多く身に付けていることの方が、より大切です。さらに、このチャレンジでは、「できなかったらどうしよう」と失敗をおそれて手を出さないのではなく、「どうしたらできるか」と考えて、できる道を探すことです。うまくできなくても、次にやることを考えることです。振り返ってみれば、この一年間は、まさしくこの通りのことをみなさんと取り組んで来たのです。
これまでも、よりよい方向へ改革してきた先人は、同じことを実行してきました。革新的なものを次々に生み出し私たちのくらしに大きな影響を与えた、スティーブ・ジョブズ氏の言葉を紹介しましょう。彼は、若くしてアップルコンピュータを立ち上げ、コンピュータを私たちの生活の中にとけ込ませ、また、携帯ミュージックプレイヤーを生み出し、さらに、皆さんが生まれて間もない2007年1月に「電話を再発明する」と発表したiPhoneによってスマートフォンをも世の中に登場させました。マウスも彼のアイディアです。もし、彼がいなければ、私たちが便利だと使っている多くのものが存在せず、まったく違った世界になっていたことでしょう。
彼の一番有名なスピーチは、アメリカ・スタンフォード大学卒業式でのものです。自分のやりたいことを追い求めていく大切さを語りかけて、最後を有名な言葉で締めくくっています。「Stay hungry, stay foolish.」と。これは「どん欲であれ、愚直であれ」ということですが、何かに満足してしまうと、それで成長は止まってしまうからハングリー精神を忘れずに、常にどん欲に向かっていこう。また、新しいことを生み出すために、いつまでも前向きな意欲を忘れずにいこうということを言いたかったのでしょう。彼自身が、この言葉どおりに生きてきて、革新的なものを創り出してきたのですから、この言葉には重みがたいへんあります。
最後に、ジョブズ氏の言葉をもう一つみなさんに贈ります。「昨日を振り返り、明日を夢見よ。そして今を生きよ。」
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。いつもとは違った卒業式になりましたが、思い出の中の九年前の真新しいランドセル姿と本日の立派に成長された姿と比べて、さぞお喜びのことと思います。また、今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援・ご協力に対しまして、職員一同、心から感謝と御礼を申し上げます。今後も本校をあたたかく見守って頂きますように、よろしくお願い申し上げます。
さあ、第43回生の皆さん、春からの新しい生活はまだまだ厳しい状況でのスタートとなりますが、ワクチン接種開始など明るい兆しが見えています。自分の成長はなかなかわからないものです。他の人と比べるのではなく、ちょっと前の自分と比べて成長を確認してください。そんな時に大切なのは、やはり仲間です。「人の長所が目につく人は幸せ」と言われます。そんな「こころ」を大切にしてください。さらに大切なのは「いのち」、健康な心とからだです。いつの日か、マスクを外して思い出話ができることを楽しみに、そして、みなさんの新しい世界でのさらなる飛躍を心から期待し、式辞といたします。本日は、おめでとうございます。』