ホトトギスの川柳と親子関係
- 公開日
- 2010/03/23
- 更新日
- 2010/03/23
校長室から
平成21年度も明日の修了式を残すのみとなりました。
本年度の本校の教育活動も保護者の皆様、地域の皆様のお力添えにより、円滑に推進することができたと思います。ありがとうございました。
さて、年度の締めくくりに保護者の皆様方向けに、以下の話を紹介したいと思います。
社会の歴史分野などで学習した戦国時代を終結させた郷土の三英傑、信長・秀吉・家康の三人を覚えていますか。その天下を統一した戦国武将三人の性格をよくあらわしている「ホトトギス」を季語にした三つの川柳があります。
『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』 (織田信長)
『鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス』 (豊臣秀吉)
『鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス』 (徳川家康)
それぞれの武将の性格をよく表現していますが、このホトトギスをわが子に置き換えて考えてみてください。自分の親子関係は三人の句のうちどの内容に最も近いと思いますか。信長の句は児童虐待ですから論外だとしても、秀吉タイプは結構多いのではないでしょうか。また、子育てにおいて正解に近いといわれる家康タイプの方も多いかと思います。しかし、この三つ句の中には、真の親子関係を表すものはないと思います。なぜならば、実は三人ともホトトギスは鳴くものと決め付けているからです。確かに鳥は美しい声で鳴くことを求められています。しかし、鳴かない鳥は認められないのでしょうか。
昭和の実業家、経営の神様といわれた松下電器(パナソニック)の創始者、松下幸之助さんは、この三人を例えた句を真似て、自分なりのホトトギスの川柳を詠んだといわれています。
『鳴かぬなら それもまた好(よ)し ホトトギス』
簡単に説明すると、鳴かなくても、それ自体、よいものだ。鳴けないのならそれでもいいのだよ、そこにいてくれるだけでもいいのだよ、というメッセージでしょう。難しいかもしれませんが、再度ホトトギスをわが子に置き換えて考えてみると、どうでしょう。
いつも松下さんの句のような気持ちでいることは難しいと思いますが、根底にはこの気持ちを忘れないでいてほしいと思います。