学校日記

卒業式の式辞

公開日
2009/03/09
更新日
2009/03/09

校長室より

 3月6日、第34回鷹来中学校卒業証書授与式を挙行しました。
 多くのご来賓、保護者の皆様には、雨の中、卒業生の門出を祝っていただきありがとうございました。
 当日の校長の式辞を掲載します。


式辞

 春雨や蓬(よもぎ)をのばす艸(くさ)の道 この芭蕉の句に詠まれたような、草木を育む縁起のよい恵みの雨のこのよき日、平成二十年度卒業証書授与式を迎えることができました。
 本日は、ご多用の中、ご来賓の皆様には、早朝よりご臨席いただきまして誠にありがとうございます。高いところからではありますが、お礼申し上げます。

 さて、卒業証書を授与された百七十四名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今、あなた方一人一人に卒業証書を手渡しました。その一枚の紙の中には実に様々なものが宿されています。小学校から通算しての義務教育九年間。その長い年月、元気に登校し、基礎・基本の学習を身につけた皆さんの努力 。それを絶えず見守り、世話をしてくださったご両親の愛情 。そして皆さんの成長のために、ある時は厳しく、ある時は優しく導いてくださった先生方の情熱 、安全に登下校できるようにと見守ってくれた地域の皆様方の思い 、そして楽しい学校生活ができるようにと気遣ってくれた教育委員会のご配慮 など。多くの人達の陰のご苦労の積み重ねによってはじめて手にすることができた卒業証書なのです。感謝の気持ち を忘れないでください。
 皆さんは、この一年間、最高学年としてリーダーシップを発揮し、在校生のよき手本となりました。また、学校の顔として対外行事にも出場し、活躍してくれました。その活動ぶりは、在校生にしっかりと受け継がれて行くことでしょう。

 卒業の門出に当たり、ひとつお話をします。
おもしろき こともなき世を おもしろく 住みなすものは 心なりけり
これは幕末の動乱期に奇兵隊を考案し、活躍した長州藩士 高杉晋作が自分の人生を振り返って詠んだ歌だと言われています。この歌の意味は、ちっとも面白いことがないと思われる世の中でも、自分の心のありようで面白く感じ、楽しく過ごせるものだ。つまり、同じ体験をしても、その心の持ちよう で、感じ方が違ってくるということです。
 例えば、想像してください。真夏の運動場や体育館で、汗をかいて部活動の練習をしています。のどはカラカラ、やっと休憩時間です。水筒を見るとお茶は半分残っています。そこで、その水筒を見てどう思いますか。「もう半分しかない」と思いますか、「まだ半分もある」と思いますか。「半分しかない」と思うと心が不安になってきます。これはマイナス思考です。マイナス思考は、物事をする前に結果にこだわり過ぎて、感じなくてもよいプレッシャーを自分にかけてしまうため、実力を発揮できず、よい結果が得られません。逆に、「まだ半分もある」と思うと、心は落ち着き、安心します。これがプラス思考です。
 プラス思考とマイナス思考の違いがわかりますか。プラス思考の場合、前向きな考え方ができるので、困難な場面では、不安をかかえるマイナス思考の場合よりも、圧倒的によい結果が得られます。
 心配性の人でも、自分に自信が持てない人でも、自分をプラス思考にすることは難しいことではありません。どんな場合でも「よい」面を探す努力をすること。どんな人にも必ずよい点がある、そう信じること。そして、自分を見つめ、自分のよい点を発見しましょう。必ずよい点はあります。自分の中でここがよいと思うところを見つけてください。
 それから、どんなに小さな出来事にでも感謝の思いを持ち続けること、そうすると心が落ち着いて、不安な気持ちは消えていきます。このプラス思考を取り入れて、これからの長い人生を明るく楽しく、前向きに生きてください。
おもしろき こともなき世を おもしろく 住みなすものは 心なりけり
 この言葉を餞(はなむけ)に贈ります。
 これからも、 を大切にし、 を成長させながら、輝かしい自分の未来 に向かって、全力を尽くし 、力強く進んでください。
 さて、在校生の皆さん。皆さんは、先輩が築いてくださった輝かしい伝統とよき校風をしっかりと受け継ぎ、さらに発展させるよう、プラス思考で前向きに努力してください。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。たくましく成長されたお子様の晴れ姿をご覧になり、さぞお喜びのことと拝察申し上げます。今日まで学校にお寄せいただきました温かいご支援ご協力に対しまして、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 以上、卒業生の皆さんの限りない前途を祝し、式辞といたします。

       平成二十一年三月六日  春日井市立鷹来中学校長 伊藤 孝之