学校日記

余命告知(よめいこくち)

公開日
2013/08/19
更新日
2013/08/19

お知らせ

 「余命告知」・・・あとどれぐらいの時間生きることができるかを知らせること。
 名古屋大学病院の小児科で、初めて行われた余命告知についての記事を読みました。昨年12月、16歳の菊本大珠(きくもとたいじゅ)さん本人に余命告知がなされました。

 菊本さんはスポーツ少年で、小学6年生の時にはイチロー杯争奪学童軟式野球大会で優勝し、イチロー選手から首にメダルをかけてもらいました。中学校では野球部に入りました。6月、左あごの激痛を訴えます。外耳炎の診断でした。

 12月、名大病院でがんと診断されます。2年生の6月にがんを取り除く手術をし、治療のため入院生活が続きます。3年生の4月に退院。みんなと修学旅行に行くことができました。高校に進学してすぐに、がんの転移が見つかります。このときは、もう治療法がない状況でした。

 がんに勝つためのつらい抗がん剤治療を受けながらも、日に日に衰弱していく大珠さん見て、お母さんはこれからどうするかを本人に選ばせたいと主治医に伝えます。お母さんには、他に方法がなかったけれど残酷なことをしたのでは、と自責の念があります。

 昨年の12月、主治医から大珠さんに余命告知がなされました。大珠さんは抗がん剤治療をやめます。余命告知の数日後、大珠さんはお母さんに「おれはいいよ。十分に楽しかったから。でも親はね・・・。」と、自分より親のつらさを思う言葉でした。
 今年3月、大珠さんは17歳の人生を閉じました。告知から87日目のことでした。

 (出典 中日新聞2013年8月17日朝刊)