5月11日(月曜) わが家にナガサキアゲハが
- 公開日
- 2020/05/11
- 更新日
- 2020/05/11
お知らせ
わが家(教頭宅)に大きな黒いアゲハが、もみじの木に雨宿りしていました。ここ数年見かけるようになったのですが、こんなにじっとしていることは珍しく、思わず写真を撮り、少し調べてみました。ちょうど3年生がモンシロチョウのよう虫(いわゆる、あおむし)の学習をしているので、発展学習、教科横断的な学習、としてこんなことも勉強になるよということであげておきます。
ナガサキアゲハ
和名 ナガサキアゲハ
学名 Papilio memnon Linnaeus, 1758
英名 Great Mormon
【理科の学習】
成虫の翅(昆虫のはね)を広げた大きさが80-120mmほどで、日本産のチョウでは最大級の種類。アゲハチョウの中では翅が大きくてはば広く、後翅に突起が無いことが特徴だが、メスに尾状突起が現れる「有尾型」もある。
日本では、成虫は4-10月ごろに見られる。人里近くでよく見られるふつうのアゲハチョウである。いろいろな花の蜜を吸う。冬は蛹(さなぎ)で冬を越す。 よう虫はミカン、カラタチなどミカン科の葉を食べる。よう虫は他のアゲハチョウと同じく、鳥の糞(ふん)ににせた色をしているが、あまり黒っぽくなく緑色が強い。
【歴史の学習】
和名「ナガサキアゲハ」はシーボルトSieboldが長崎(九州ながさき)で最初に採集したことに由来する。この和名は現在も使われる。シーボルトが調べた標本は、1823年の11月にコック・ブロムホフがオランダに持ち帰った(ホルサイス・酒井,1970)が,その後、標本がどうなったかは不明となっている。オランダ国立自然史博物館には見当たらないとか。亜種名の"thunbergi"は、シーボルトよりも前に来日し日本植物学の基礎を築いたカール・ツンベルクに対する献名である。
日本の博物学が、幕末から明治にかけて外国人によって基礎が築かれたことがよくわかる。
※シーボルトはドイツ人であり、標準ドイツ語では「ジーボルト」が近いが、幕末の鎖国中の日本に、オランダ人と偽って入国したためオランダ語の発音で「シーボルト」となっている。
【環境の学習】
ナガサキアゲハの日本での分布域は、近畿(きんき)より南から南西諸島までの西日本だった。ナガサキアゲハという和名もそれを表している。それが1980年代には大阪府北部の箕面(みのお)市などで見つかり、1995年にはほぼ近畿全域に生息していることが確かめられた。近年はさらに北上して、関東地方でも確認されている。日本では南方系の種類であるナガサキアゲハの分布域の北方への拡大は、ほぼ間違いなく気候の温暖化が主因となって引き起こされたと考えられる。<大阪府立大学の吉尾政信氏らのグループの研究>
もともとの分布域は、東南アジアとインドネシアから、中国、台湾から日本まで。