<校長室の窓> 齋藤 孝氏から学ぶ
- 公開日
- 2017/10/17
- 更新日
- 2017/10/18
勝川小学校
保護者の皆様へ
先週土曜日、私が尊敬している齋藤孝先生(明治大学教授)が
名古屋で講演をされるというので、はりきって行って来ました。
90分間の講演で、色々とメモをとってきましたが、
多くは、教師向けのお話でした。
その中で、保護者の皆様に、ぜひお伝えしたいなというお話が、
2つありましたので、本日ご紹介します。
文章化すると、やや抽象的になってしまいますが、お許しください。
<才能よりも意識の差>
スポーツにおいて、「脳の状態」というのは、
才能以上に、「上達」に大きな影響を与えます。
多くの競技において、
足が速い、肩が強いというような運動能力そのものは、
決定的要素ではありません。
むしろ肝心なのは、
「この練習の課題はこうだから、このポイントを意識してやれ!」
というような指示を出し、それを脳に焼き付けさせて、
意識的にトレーニングさせることが大切なのです。
「意識の差(認識力の差)」が、「実力差」になるのです。
学習も同じです。
もともとの知能というよりも、「課題に対する意識のあり方」で、
学習成果は、まったく違ってきます。
積極的に受け入れる構えをつくり、
脳をクリアにして何度も取り組む時、
与えられた課題に対する「認識力」が出てきます。
それが学ぶ力を伸ばすのです。
<脳の高速回転>
本当に子どもが生き生きしている時というのは、
脳が「高速回転」している時です。
体もきびきび動いていますから、
そういう子どもは、見ていてすぐにわかります。
脳を活性化させるためには、
「体」からはたらきかけるのが、一番強力です。
一般に、「体を使うと脳は使わない」と思われがちですが、
脳研究で知られる東北大学の川島隆太先生の研究によると、
脳が一番活性化するのは、考え事などをしている時ではなくて、
「音読」している時だそうです。
日本語を読んでいる時も、かなり活性化しますが、
英語を音読している時に最高になります。
日本語よりも英語を読む方が、より緊張感を伴うからです。
「声に出す」というからだのアプローチが、意識を覚醒させるのです。
音読といういわば幼稚な手法とされてきたものが、
意外にも、いわゆるぼんやりしとした考え事よりも、
はるかに脳を活性化させるのです。
学習では、この勉強の「課題」はこうだから、
このポイントを「意識」してやりなさいと、
具体的に指示することが大切だと思いました。
例えば、算数の計算をじっくり考えて時間をかけて解く子がいます。
とても、大切なことです。
しかし、テストでは、限られた時間に問題を解かなければなりません。
そこで、「もっと速く解けるように頑張ろうね!」(=課題)
そのためには、
「数をこなすことが大事だよ」
「たくさん練習すれば、速くなるよ」(=意識)
と言ってあげるのです。
「音読」を積極的にさせると、脳が高速回転すると、
齋藤先生は言っています。
ご家庭で、ぜひ、実践してみてください。
上手に読めたら、思いっきり褒めてあげてください。
これも、繰り返しがポイントです。
釈迦に説法をお許しください。
なお、齋藤先生の著書『子どもの集中力を育てる』(文芸春秋)には、
以上のことが、より詳しく書かれています。
※齋藤孝先生の詳細は、ココをクリックしてください。
(写真出典 Yahoo!画像)