小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」
- 公開日
- 2011/11/20
- 更新日
- 2011/11/20
学校の窓
先日、大同大学長の澤岡昭さんの話を聞く機会がありました。澤岡さんは、スペースシャトルや国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の利用計画などに長年携わり、現在も宇宙航空研究開発機構(JAXA)技術参与として活躍されている方です。実際に宇宙研究の最先端に携わる澤岡さんからお聞きした話から、いくつか紹介します。
7年ぶりに帰還した「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワは、地球から3億km離れ、電波でも往復34分かかります。そのため、地球から命令を送るのでなく、何度も写真を撮影して自分で判断しながら学習する能力を「はやぶさ」は備えていました。「はやぶさ」を運んだロケットは0.5トンの打ち上げ能力しかなかったので、軽量化のためイオンエンジンが採用されました。このエンジンの力は、1円玉を持ち上げる程度の推進力しかありませんが、抵抗のない宇宙空間では最終的に秒速10kmのスピードが出せました。
「はやぶさ」の計画運行をまとめられたJAXAの川口淳一郎さんについても話されました。多くの技術者をまとめてプロジェクトを進めた川口さんは、何度も議論をする中では、独創性があるほど、相手を納得させる力(ディベート力)が必要だと言われたそうです。
最後に、3年後の打ち上げを予定している「はやぶさ2」について話されました。「はやぶさ2」がめざすのは、黒い小惑星です。炭素が主成分で、有機物や水をより多く含んだ小惑星だと考えられ、太陽系空間にある有機物や水がどのようなものなのか、そして地球上の生命や海の水との関係はどうなっているのか、というテーマに挑戦します。「はやぶさ2」が小惑星に到着するのは2018年で、2019年に小惑星から出発して2020年末に地球帰還の予定です。
大きな目標を持って長い年月をかけて取り組むプロジェクトは、わたしたちに様々な夢を思い描かせてくれます。澤岡さんは、宇宙開発の話や星空の研究に情熱をかけた人たちのエピソードを、「宇宙は手の届くところに」と題して中日新聞にも連載されているので、興味のある人は是非読んでください。
○JAXA「はやぶさ」について
→http://www.jspec.jaxa.jp/activity/hayabusa.html
○JAXA「はやぶさ2」について
→http://www.jspec.jaxa.jp/activity/hayabusa2.html