学校日記

第26回卒業証書授与式 学校長式辞

公開日
2010/03/08
更新日
2010/03/08

学校行事

 例年になく、白い雪が何度も舞い、このニュータウンを白銀の世界に変えた今年の冬。いつしか、この厳しかった寒さも、次第に緩み、校庭を吹き抜ける風にも、春の到来が感じられるようになりました。
栄えある第26回卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます今、新たな旅路につこうとしている99名の皆さん一人一人に、心からの祝福と激励のエールを送ります。
 我が石尾台中学校は、昨年度25周年という、一つの節目を迎えました。本年度は、新しく生まれ変わった、「新生・石尾台中学校」の元年と位置づけ、様々な行事を行ってきました。皆さんは、その「新生・石尾台中学校」の第1回目の卒業生となったのです。
 初めてこの石尾台中学校の校門をくぐった平成19年4月から、はや3年。体も心も本当に大きく成長できました。私が皆さんと、初めて出会ったのは一昨年の4月のことでした。当時、周りの先生から、このような話を聞きました。「今年の2年生(今年の卒業生のことです)は、素直な子が多いけれど、ちょっと落ち着きがないんです。ガラスもよく割りますし、廊下をよく走ったりします。」と・・・。そう言えば、その年はよくガラスが割れましたし、廊下や教室ではしゃぐ姿がよく見受けられたように感じます。でも、私は、こう思いました。確かに、少し落ち着きの無さはあるように見えるけれども、その反面、この子たちには、ものすごいパワーがあるのではないかと・・・。
 3年生、石中の最高学年となった皆さんは、私が思った通り、素晴らしい力を発揮してくれました。伝統である石中生徒会の役員選挙には、やる気のある人が続々と立候補してくれ、生徒会行事・生徒会活動をリードしてくれました。体育大会・文化祭などの学校行事や部活動などにも、常に積極的に参加し、後輩である1年生・2年生をよくリードし、よきお手本となったのでした。
 皆さんが、このように大きく成長できたのは、もちろんここにいる皆さん一人一人の努力の賜(たまもの)であることは、間違いありません。しかし、大切なことは、皆さんを様々な角度から支援し、応援してくださった沢山の人達がいるという事実です。学校の先生方はもとより、知人や友人、親戚の方々や地域の人々などなど、本当に多くの方々にお世話になったのです。
 その中でも、一番は、何と言っても、ここにいらっしゃる皆さんのご両親、お父さん・お母さんであろうと思います。色々なことがあったとは思いますが、何があっても、結局、親の心の中では、子供のことが心配でならないのです。皆さんのことが、一番大切なのです。皆さんは、その親の心が分からなければならないのです。ここまで育ててくださった親に対して、苦労をさせたり、苦しめたり、悲しい思いをさせたりしては絶対にいけないのです。逆に、親には喜んでもらい、ほっとしてもらい、安心してもらうのです。きっと、それが、最高の恩返しになるのだと思います。そのためにも、皆さんは、言葉を大切にしていってほしい。はっきりと言葉に表してこそ、本当の心の思いは、相手に伝わっていくものです。どうか、いつまでも親を大切にする皆さんであってほしいと思います。
さて、ここで、いつものクイズを一つ出したいと思います。小説『若きウェルテルの悩み』や詩劇『ファウスト』などの作者として有名なドイツの大文豪といえば、誰でしょう?答えは、「ゲーテ」ですね。ゲーテは、1749年の8月28日、ドイツのフランクフルトに生まれました。今年は、このゲーテが生まれて260年目にあたるそうです。ゲーテは、政治や教育、文化、芸術などの発展にも貢献し、自然科学の分野でも、動物学、植物学、地質学など、様々な研究を進め、数々の業績を残しました。
 1777年、ドイツの寒い冬のある日のことでした。北風に向かい、勇んで馬に乗り、旅を続けている28歳の若い指導者がいました。彼は、冷たい雹(ひょう)が降っても少しもひるまず、ワイマールという都から遠く離れた、悩める無名の一人の友のもとへ、森を抜け、山を越えて馬を走らせていました。この青年こそ、若き日のゲーテでありました。彼は、本当に忙しい中、一人の友を励ますために走ったのです。大変な中を、自分のためではなく人のため、友のためにと行動する。こういう人こそ、偉大な人になるのです。自分は苦労を避けて、楽ばかりしている人が、偉大になるわけがありません。一番厳しい中で、一番大変な中で、そして一番陰で努力した人こそが、偉大な人間となるのです。
 ゲーテは、こう叫びます。「人間よ 気高くあれ!」と。ちょっとしたことで落ち込んだり、すぐにあきらめてしまったり、だらけてしまったり、意気地なしになったりしてはだめなのです。「気高くあれ!ぐっと胸を張れ!」とゲーテは教えているのです。さらに、彼は、こうも言っています。「進んで人を助け、善であれ!」そして「正しいことを つねに倦むこと(いやになる、あきる)を知らず行え!」と。
皆さんが本校で学んだ、福祉教育そしてボランティア実践は、まさに「善の心」を育む教育です。そこで培った心を、これからのそれぞれの道で、しっかりと開花させ、人として、人間として、一回りも二回りも大きく成長し、ゲーテのごとく偉大な生き方を目指してほしいと思います。
 さて、保護者の皆様方、本日は、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。本校に入学以来、様々な角度から、本校の教育活動全般に渡り、温かいご支援とご協力をいただき、本当にありがとうございました。高い席からではございますが、御礼申し上げます。私ども教職員一同は、生徒一人一人を大切にする気持ち、教育にかける情熱を、いつも忘れないように心掛け、常に全校挙げて、全力で取り組んで参りました。卒業後も、学校はいつも開かれております。何かございましたら、いつでもご相談いただければと思っております。ありがとうございました。
 また、ご来賓の皆様、本日は、ご多用中にも関わらず、本校の卒業式に、ご臨席いただき、誠にありがとうございます。ご覧の通り、本校の生徒は、どの子も、本当に優秀な生徒ばかりであります。必ずや、これからの地域や社会を担っていける人材に育ちゆくものと信じております。どうか、今後も、皆様方の温かいご指導とご支援をいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
さあ、卒業生の皆さん。皆さんの前には、輝かしい未来が待っています。最後に、ゲーテの詩の一節を朗読して、皆さんへの餞(はなむけ)の言葉とします。
「わたしは、いつも人間のよろこびを謳(うた)う
 正しい道をそれぬかぎり
 人間は実にうつくしく
 永遠に、人間は偉大である」
どうか、皆さんは、悲しみの道ではなく、よろこびの道を、そして正しい道を、まっすぐに進んでいってください。さらに、ゲーテは、『ファウスト』という作品の中に、次のような詩を刻んでいます。
「臆(おく)することなく起(た)って進め
 世の人々はためらい、惑うとも
 気高い者が明知と勇気をもって事にあたれば
 すべてのことは成就するのだ」 
ここにいる皆さん一人一人の進む道は、それぞれではありますが、いつまでも、本校で培った「石中魂」を忘れず、己の強い信念を持ち、次なるステージで、大いに飛躍していってください。
 卒業生99名全員の今後ますますのご活躍とご健康をお祈りし、式辞といたします。
 平成22年3月8日(月)
         春日井市立石尾台中学校長 梅 本 幸 平

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