学校日記

≪校長室の窓≫ まど・みちおさんの死を悼む

公開日
2014/03/01
更新日
2014/03/01

学校の窓

昨日、私の大好きな詩人、まど・みちおさんが亡くなりました。
心からご冥福をお祈りします。

まど・みちをさんの詩を一つ、ご紹介します。

コップ まど・みちお

コップの中に 水がある
そして 外には 世界中が

コップは世界中に包まれていて
自分は水を包んでいる
自分の はだで じかに

けれども よく見ると
コップのはだは ふちをとおって
内側が外側とが一まいにつづいている

コップは思っているのではないだろうか
自分を包む世界中を
自分もまたつつんでいるのだと

その一まいの はだで
水ごと すっぽりと

コップが ここに坐(すわ)って
えいえんに坐っているかのように
こんなに静かなのは…

<解説>
世界に包まれているコップが、実は世界を包んでいる。
視点を変えれば、まったく違ったものが見えてくるということのおもしろさが、
水の入った一つのコップにうたわれています。
わけのわからないことだらけの世界からすれば、
その中によりどころなく、ぽつんと生きている私ですが、
私という中心から眺めてみると、
私という一人の存在に対して、
世界は不思議に満ちて限りなくひらかれているともいえるのです。

写真左は、まど・みちおさん(Yahoo!画像より)
写真右は、少年詩集『まめつぶうた』(理論社)です。
この詩集は、おすすめの1冊です。