≪校長室の窓≫ 我以外皆我師
- 公開日
- 2013/08/31
- 更新日
- 2013/08/31
学校の窓
石中生の皆さんへ
我以外皆我師(われいがいみなわがし)とは、
「自分以外は、みんな自分の先生である」という意味です。
私は、この言葉を、『宮本武蔵』『新・平家物語』『三国志』など、
すぐれた小説を書いた吉川英治という人から学びました。
この吉川さんは、実は、学校は小学校しか出ていません。
父親が事業に失敗し、貧乏のどん底に落ちてしまったため、
小学校も途中でやめて、働かざるを得ませんでした。
それからは、造船所の職人、行商人、活版工など、
社会の下積みといえるようなたくさんの職業を次々変えながら、
自分一人で、勉強・修行を続け、
ついに自分の進むべき道を見つけ出して、
小説家になったのです。
その吉川さんの勉強法、生き方の方針が、
この「我以外皆我師」なのです。
「自分以外は、すべてが自分の先生である」
「どんな人間でも、いや山も川も、草も鳥も虫も、
およそこの世にあるものすべてから学ぶのだ」
こう考えて、生きていったのです。
世の中にあるものは、すべて自分の先生であると言うと、
皆さんの中には、
でも世の中には、悪い人間だっているじゃないか。
暴力をふるう人、いじめをする人…。
そういうのも、自分の先生になるのか。
こんな疑問が湧いてくると思います。
吉川さんは、そういう人も、やはり先生であると言っていると、
私は思います。
そういう先生のことを、「反面教師(はんめんきょうし)」と言います。
反対の面、つまり逆の意味の先生です。
こうなってはいけない、それは人間として間違っている。
ダメだということを身をもって教えてくれる先生です。
自分のまわりの人、自分のまわりのものから、
すすんで学びましょう。
すすんで問いかけていきましょう。
校長 堤 泰喜
(写真は吉川英治氏 出典:ウィキペディア)