クワガタ絶滅と青少年の危機
- 公開日
- 2006/02/01
- 更新日
- 2006/02/01
南城中学校
「日本のクワガタが危ない」と聞きました。(1月30日放送「クローズアップ現代」)
理由は二つあります。
一つは乱獲です。昆虫ブームの中でクワガタは高く売れるため、業者や愛好家が幼虫を採りつくしてしまうのです。
もう一つは外来種の輸入です。年間100万匹にも及ぶ外国クワガタの輸入により、逃げ出した外国の大型クワガタが日本のクワガタを駆逐し、あるいはこれと交配し、純日本クワガタを圧迫しているのです。
さらに、日本クワガタの危機はそのすみかである里山の存続をも危うくしているといいます。クワガタの幼虫はクヌギの木の中で越冬するのですが、採集者はこのクヌギの立木を削ったり割ったりして幼虫を取り出すため、木が枯れてしまいます。また、幼虫は木を食べて栄養豊富な土として排出しており、その土が里山の木々の養分となっていたのですが、幼虫がいなくなるとこのサイクルが断ち切られてしまいます。そんなわけで、クワガタがいなくなるとともに里山も立ちゆかなくなっているのだそうです。
また、外来種については、輸入を禁じようとすれば貿易摩擦の火種となり、飼育を制限しようとすれば、既に飼われている5億匹の大量遺棄につながりかねないとして、打つ手がないようです。
売り手は需要に応えて商品を提供する、買い手は高額の負担をしてでもより質の高い商品を求める、そのこと自体は経済の基本であり、少しも悪くありません。しかし、クワガタの危機は「何かを手に入れようとすれば、一方で失うものがある」ことをあらためて我々に語りかけて来ます。
この1年で、夜11時過ぎに外を出歩いていて補導される高校生・中学生の数が以前の何倍にもなっていると聞きました。夜中でも開いている店があれば便利ですし有り難くもあります。話が飛躍するかもしれませんが、例えば幼児の頃から家の人に連れられて夜中に買い物をすることが多ければ、「夜は外出しないもの」という価値観は身に付かないのではないでしょうか。