学校日記

「宮本武蔵」と人権

公開日
2005/12/12
更新日
2005/12/12

南城中学校

 私、吉川英治の「宮本武蔵」を愛読しております。映画化されたりテレビで放映されたりした時もよく見ます。そうした映像作品の中で、私にとってのランキング第1位は、昭和36年から5年間にわたって制作された、内田吐夢監督・中村錦之介主演の東映映画作品です。原作に忠実な映画でして、こんな場面があります。
 雪の三十三間堂で吉岡伝七郎を倒した夜、武蔵は吉野太夫の接待を受ける。琵琶を弾き終えた吉野は、少しも緊張を解かぬ武蔵に語りかける。
「あなたは、そうして一体何に備えておいでなのですか。そのご様子を拝見しておりますと、今にも斬られて死ぬようなお方に見えてなりませぬ。……お怒りになりましたか。」
武蔵が答えます。
「言うたものが女だ。怒りはせぬが……。」
 私にとってのランキング第2位は、何年か前に正月用時代劇で民放が制作したもので、主演は北大路欣也であります。これもなかなかの力作ですが、その中では、吉野太夫に答える武蔵の台詞は、ただ「怒りはせぬが」だけで、「言うたものが女だ」という原作の表現はカットされております。
 昭和30年代に比べて、台詞ひとつにも女性への配慮がされるようになってきた例として紹介しました。

 12月10日は「世界人権デー」でした。
女性に限らず、子どもだから、お年寄りだから、障害のある人だから、部落やアイヌの人だから、外国人だから、HIVやハンセン病にかかっているから、刑務所から出てきた人だから、ホームレスだから……というので人をいじめたり差別をしたりしないようにしようというのが人権週間のねらいです。(第57回人権週間強調事項より)
 国では平成12年に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」を公布・施行し、愛知県では平成13年に「人権教育・啓発に関する愛知県行動計画」を発表して、私たち一人一人が人権に関する正しい知識を持ち、人権尊重の社会づくりの担い手となることをめざしています。