キラーT細胞の活躍
マクロファージが一番最初に、外敵が侵入したことをヘルパーT細胞に報告をするとのべましたが、他からも知らせが送られます。それは、外敵(つまり「抗原」のこと)に乗っ取られそうになり、危機に陥っている細胞です。これを「感染細胞(かんせんさいぼう)」と言います。みなさんの体を作っている細胞1つ1つには、一人一人ちがう「ラベル」が付いています。このラベルを「MHCクラス1」といいます。このラベルは、ただのラベルではありません。細胞にこっそり外敵が侵入したとき、外からではわかりませんね。侵入していることを外に知らせる警報装置のような働きもします。
感染細胞は、外敵(抗原)の一部をちぎります。
外敵に侵入をゆるしてしまった細胞は、敵の一部をちぎり取ります。
抗原の断片をMHCクラス1といっしょに 自分の細胞の表面にさしだします。
ちぎった敵の一部と自分のラベルであるMHCクラス1の合わさったものを、自分の細胞の外に出します。こうして、細胞に敵が侵入し、あぶない状態にあることをヘルパーT細胞に知らせます。
敵が侵入したという知らせを受け取ったヘルパーT細胞は、キラーT細胞をたくさん作ります。
敵が侵入したという知らせを受け取ったヘルパーT細胞は、たくさんのキラーT細胞を送る決断をします。そのため、さっそくヘルパーT細胞は、特別なタンパク質(インターロイキン2)を送ってキラーT細胞を増やします。キラーT細胞は、ヘルパーT細胞の命令がないと増えません。HIVというウイルスは、このヘルパーT細胞に侵入して命令を出せないようにするため、外敵が侵入してもキラーT細胞が増えず、免疫機能を低下させてしまうのです。
戦闘準備を完了します。
インターロイキン2を受け取ったキラーT細胞は、すごい勢いで増え、しかも力も強くなります。
戦闘開始
このキラーT細胞は、異常な細胞を見つけてはさっさと殺してしまう「細胞の殺し屋」なのです。この「殺し屋」は、敵が侵入しのっとられた細胞を異常な細胞としてタンパク質のパーフォリンというミサイルを発射して、中にひそんでいる抗原もろとも破壊してしまいます。
戦闘がおわり、勝利します。
殺し屋としての役目を終えたキラーT細胞は、そのほとんどが死んでしまいます。しかし、一部はメモリーキラーT細胞として残り、次に同じ敵が攻めてきたときに備えます。つまり、今度同じ敵が攻めてきたとき、メモリーキラーT細胞がただちに増えてやっつけようというのです。これは、メモリーB細胞に似ていますね。

抗体のかつやく にもどる