≪校長室の窓≫ 江戸しぐさ
- 公開日
- 2013/08/06
- 更新日
- 2013/08/06
学校の窓
「江戸しぐさ」とは、もともとは、
江戸時代の商人たちが商売で繁盛するために、
お客様と良い関係を築くための人づきあいのノウハウのことです。
「江戸しぐさ」には、
「してはいけないしぐさ」と「するとよいしぐさ」があります。
いくつかご紹介します。
<稚児しぐさ>(してはいけないしぐさ)
人の迷惑を考えない子どもっぽい振る舞いを「稚児しぐさ」と言います。
今でいえば、電車やバスの中で、大声で携帯で話したり、
タバコのポイ捨てをしたりする人のことでしょうか。
<戸閉め言葉・手斧言葉>(してはいけないしぐさ)
「でも」「だって」「しかし」「そんなこと言っても」が「戸閉め言葉」。
戸を閉めて相手を中に入れようとしないという意味です。
「手斧(おの)言葉」とは、荒々しい乱暴な言い方のこと。
今でいえば、「死ね」「うざい」「きもい」という言葉でしょうか。
このような言葉は人を傷つけ、人間関係を確実に悪くしてしまいます。
<傘かしげ>(するとよいしぐさ)
雨の日や雪の日、相手も自分もお互いが濡れないように、
傘を人のいない外側にすっと傾けてすれ違うしぐさ。
これは、「江戸しぐさ」の代表的なものの一つと言われています。
江戸の町が狭くて通行しにくかったために考えられたマナーだったようです。
例えば、雨の日に、
水しぶきがかからないようにゆっくりと通ってくれるドライバー。
見ると、心が温まります。
<こぶし腰浮かせ>(するとよいしぐさ)
江戸時代、渡し船を待っているとき、後から乗ってきた客のために、
こぶし分だけ腰を浮かせて席をつめること。
現代では、電車などで、この「こぶし腰浮かせ」が応用できるでしょう。
江戸時代に、このような人づきあいが日常的に行われていたとは驚きです。
今の世の中に、もっともっと「江戸しぐさ」が広まることを願っています。
校長 堤 泰喜