3/6(水)第77回卒業証書授与式 校長式辞
- 公開日
- 2024/03/06
- 更新日
- 2024/03/06
今日の坂下中
今日の朝はあいにくの雨模様でしたが、卒業生が巣立つ時間には青空が広がり、彼ら彼女らの前途を祝福しているようでした。本日の卒業式で、以下のような式辞を生徒たちに贈りました。
卒業式 式辞
青空が美しいこの学び舎に、暖かな春の風が吹き込む季節となりました。第七十七回卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心より祝福いたします。
この佳き日に、ご来賓並びに保護者の皆様にご臨席賜り、また、在校生の参加のもとで卒業証書授与式が挙行できますことを大変うれしく思います。高い所からではございますが、深くお礼申し上げます。
卒業証書を手にした今、皆さんはいろいろな思い出が脳裏に浮かんでいると思います。思い浮かぶことは一人一人違うかもしれませんが、全員に共通しているのは、坂中の校訓「すべてに最善を」を合い言葉に、大きな変化や困難の中でも、いつも笑顔でそして真剣に、仲間と励まし合いながら学習や活動にみんなで取り組んだ日々が積み重なり、今日この日を迎えたことです。
私が皆さんと過ごした期間はわずか一年間でしたが、それでも思い返すとたくさんの思い出があります。
四月、赴任したばかりで不安だった私に、登校中、皆さんは笑顔で、元気よく挨拶をしてくれましたね。皆さんの挨拶の声を聞き、気持ちがパッと明るくなったとともに、素直で人懐っこい姿にホッとしたことを今でも忘れません。
六月、修学旅行では東京での分散活動で、仲間と協力しながら訪問地へと出かける姿に頼もしさを感じました。そして、楽しかったことや体験したことを嬉しそうに話してくれましたね。皆さんと一緒に撮影した写真は、私にとっても宝物です。
夏休み、部活動の大会・発表では、上位を目指して、持てる力を存分に発揮し、活躍していました。皆さんの全力のパフォーマンスに、パワーを送りに応援に行った私が、逆にパワーをもらっていました。そして、羨ましくなるほど、格好よく、輝いていました。
九月、十月のスポレク大会、文化祭では、コロナによる制限がなくなったこともあり、全力で盛り上げ、楽しんでいましたね。そして、クラスのために貢献できなかったと泣きじゃくる仲間を励ます姿や、歌に込められた思いを伝えようと学級全員で表情豊かに歌う姿は、私の胸をジーンと熱くさせました。
十二月、一月は受験のための面接練習を校長室で行いました。最初は緊張の面持ちだったのが、将来の夢や中学校生活の思い出を語る時になると、目が輝き、希望に満ち、充実感いっぱいの表情を浮かべていました。その姿に、限りなく広がる皆さんの可能性を感じ、全力で応援したいと強く思わされました。
ここに挙げたのは一部で、皆さんとの思い出はまだまだたくさんあります。そして、共に過ごした日々は私だけでなく、三年生の先生をはじめとする先生たち、後輩たち、地域の人たち、そしてお家の人たちにとってかけがえのないものです。坂下中を温かく前向きにしていった皆さんの姿勢と行動の全てに心より感謝しています。
さて、卒業する皆さんに、私からメッセージを贈りたいと思いますとはいえ、最後にどのようなことを伝えるべきなのか、随分悩みました。そして、悩んで悩んだ結果、私が一年間いろいろな場面で言い続けてきた言葉。そう、三つのことを改めて贈りたいと思います。
一つ目 夢や目標をもち、まず第一歩を踏み出してください。
二つ目 自分を大切にしてください。
三つ目 自分の周りの人を大切にしてください。
秋に、各学級で私が行った道徳の授業を覚えていますか?その時、本田美奈子さんの人生を取り上げ、これからの自分の生き方について考えてもらいました。実は、彼女を題材に取り上げたのは、彼女が私の言ってきた三つのことを大事にして生きた人だったからです。彼女は、アイドル歌手からロック歌手、ミュージカル歌手そして、声楽家へと、自分の可能性を追い求め、常に一歩踏み出していた人でした。インタビュー映像の「大変なことを乗り越えた先の新しい自分に出会えることが楽しみ」という彼女の前向きな言葉に共感している人もいましたね。
また、自分を大切にしていた人でした。周りに流されることをよしとせず、デビューの時から自分の思いをきちんと伝えるとともに、その目的に向かって自らを律し、努力していました。
そして、周りを大切にしていた人でした。急性骨髄性白血病で入院中、辛い治療が続いていた時も決して人前では涙は見せず、大ケガをして入院した恩師のことを気遣っていました。そして自分が退院する時には、お世話になった医師や看護師に感謝を伝えるため「アメージンググレイス」をアカペラで歌ったそうです。
彼女の人生は三十八年と短かったものの、三つのことを大事にした生き様は、とても色濃く、清々しく、素敵なものでした。そして、亡くなってから十年以上たつ今でも、多くの人からその歌声と共に彼女の生き方は支持され続けています。
道徳の振り返りの中で、皆さんは柔らかな感性で、彼女の生き様からいろいろなメッセージを受け取り、思いを綴っていました。それを読み、私は、感動すると共にその決意や思いの強さに皆さんの覚悟を感じました。それらをこれからの人生で実践し、実現してくれるとしたら、拙い道徳の授業をした私にとってこれ以上の喜びはありません。もし、挫けそうになったら、自分自身がその時に書き記したこと、その時の気持ちを思い出してみてください。そして、三つのことを大事にしながら、心と体をひと周りもふた周りも大きく成長させ、魅力ある人になってください。皆さんならきっとできるはずです。
最後になりましたが、保護者の皆様方、お子様のご卒業、誠におめでとうこざいます。
小学校時代を含めて九年間の義務教育の課程を無事修了され、立派に成長されましたお子様の姿を前に、感慨深く、そして様々な思い出が駆けめぐっていることと推察いたします。お子様共々、本日、こうして一つの節目を乗り越えられましたことに、重ねてお祝い申し上げます。また、これまで本校に寄せられましたご厚情に教職員一同、心より感謝申し上げます。これからも地域の学校としてご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
今日で坂下中を旅立つ卒業生の皆さん。明るくて、人懐っこく、何よりも頑張り屋な皆さんの前途が、坂下に広がる空のように澄み渡り、拓けていくことを心より祈念し、式辞といたします。
令和六年 三月六日
春日井市立坂下中学校長 今田 宗孝